2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム触媒による炭素-ケイ素結合の切断を経るシロール合成反応の開発
Project/Area Number |
10J00371
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾上 晶洋 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロール / ロジウム触媒 / 炭素-ケイ素結合切断 / キラルケイ素中心 |
Research Abstract |
本研究では、これまでにわれわれが見出した「ロジウム触媒による炭素-ケイ素結合切断を経るシロール合成反応」という新たな手法を用い、従来合成が困難とされていた新しいシロール骨格を構築することを目的としている。今年度は、昨年度新たに見出したエナンチオ選択的な炭素-ケイ素結合の切断を経るキラルシロール合成に関して、収率の向上および基質適用範囲の拡大を目指して研究を行ってきた。 実際には、種々のルイス酸や、塩基、水等の添加剤や新しく合成した配位子の検討、および反応温度、溶媒、その他反応条件の検討を行ってきた。また、基質適用範囲の拡大を目指し、アルキルアルキンや種々の置換基を持つジアリールアルキンを用いて反応を行った。これらの検討を通じて得られた知見は、今後さらに本研究を展開させていくための重要なデータになると考えている。 一方で、当初の研究計画には無かったが、本反応の高い官能基許容性を生かした新規二重縮環型のシロール誘導体の合成を達成することができた。ここで得られたシロール誘導体は、われわれが見いだした手法でのみ合成することができると考えられる。 さらに、上記の研究と並行して、ロジウムによる炭素-ケイ素結合切断の機構を調べるための実験も行った。その結果、われわれの反応における炭素-ケイ素結合の切断は、従来知られていた炭素-ケイ素結合切断のメカニズムとは異なる反応機構で進行しているという興味深い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルケイ素中心を有するキラルシロールの合成に関して、種々の条件検討および基質展開の研究を通じて、今後の研究に役に立つ知見が得られた。一方で、別のアプローチからも従来に無いシロール誘導体の合成を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規シロール合成反応に関しては、キラルシロール以外のシロール誘導体合成反応の開発を検討する。例えば、異なる四つの置換基を有する「非対称四置換シロール」の合成などが挙げられる。その他に、炭素-ケイ素結合の切断という本反応の最も興味深い特長を生かした、全く新しい含ケイ素化合物合成反応の検討も行っていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)