2010 Fiscal Year Annual Research Report
7回膜貫通型受容体・APJによる血管平滑筋異常収縮メカニズムの解明
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10J00376
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永野 克将 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | APJ受容体 / α1アドレナリン受容体(α1-AR) / 細胞内カルシウム濃度 / Rho/ROCK経路 / BiFC-assay / 受容体ヘテロダイマー / α1A-AR / 血管異常収縮(攣縮) |
Research Abstract |
平成22年度実験計画;血管異常収縮の分子メカニズムの解明 血管平滑筋細胞上のAPJ受容体はα1アドレナリン受容体(α1-AR)と特異的に相互作用し、血管異常収縮を誘導することを明らかにした。血管異常収縮は高血圧症や血管梗塞系疾患の発症原因の一つとされているが、未解明の点が多い。本年度は血管異常収縮の分子メカニズムに焦点を当て、研究を遂行した。 (1)ex vivo系(マグヌス法)を用いた血管異常収縮シグナルの解析 血管平滑筋細胞APJ受容体過剰発現マウスの大動脈血管リング標本を用い、血管異常収縮シグナルの解析を行った。その結果、APJによる血管異常収縮は、これまで異常収縮の主経路とされていたRho/ROCK経路を介さず、細胞内カルシウム濃度に依存することが示された。本結果はAPJが新たな血管異常収縮誘導因子である可能性を示唆している。 (2)APJ受容体とα1-AR間の特異的相互作用メカニズムの解明 APJとα1-AR間に非常に高い特異性があることから、両受容体のヘテロダイマー形成に着目した。解析では蛍光タンパク質を用いたBi-molecular Fluorescent Comprementation(BiFC)assayを行った。このアッセイでは、生細胞上で立体構造を維持したまま、受容体同士の結合状態や細胞内局在変化等の観査を行うことができる。BiFC assayの結果、APJとα1-ARのサブタイプの中でも特にα1A-ARが細胞膜上でヘテロダイマーを形成しており、これにより両受容体の特異性が生じることが示唆された。
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