2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00387
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平出 雅哉 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機太陽電池 / ナノピラー / 結晶成長 / 分子配向制御 |
Research Abstract |
有機太陽電池(OPV)の効率を向上させる手段の一つとして、素子内へのナノピラーなどのナノ構造体の導入が非常に有効である。これによりドナー/アクセプター界面の増加による励起子拡散効率、電荷輸送効率の向上が期待できる。本年度は、配向制御した結晶核上に、気相成長法を用いてナノピラー構造の作製を行い、OPVへと応用した。 ドナー材料には針状結晶が得られるCupper Phthalocyanine(CuPc)を用いた。しかしながら、蒸着膜中におけるCuPc分子はedge-on配向するため、CuPc分子単体を結晶核にした場合ピラー構造は得られないと考えられる。そこで、CuPc分子の配向制御層として3,4,9,10-perylene-tetracarboxylic-dianhydride(PTCDA)を用いた。この分子は、基板に対し、face-on配向し、そこに積層させたCuPc分子も同様にface-on配向することが知られている。この結晶核を用い、気相成長法にてピラー構造の作製を行った。X線回折の結果から、CuPcの結晶は基板の法線方向に成長していることがわかった。一方で、PTCDA層を用いなかった場合は、基板の接線方向に成長していることが確認できた。このことから、結晶核の分子配向を制御することによって、結晶の成長方向を制御できることが明らかになった。さらに、成長温度を制御することにより、ピラー構造の長さ、密度の制御を行い、最終的には長さ100nm以下、直径30nm程度のピラー構造を作製することに成功した。また、この構造を用いてOPVの作製を行った。アクセプターとして6,6-Phenyl-C_<61>-Butyric Acid Methyl Ester(PCBM)を塗布法により成膜し、デバイスを作製した。デバイス特性は、PTCDA層を用いていない参照素子において、短絡電流密度(J_<sc>)、開放端電圧(V_<oc>)、曲線因子(FF)、変換効率(η)はそれぞれ、J_<sc>=-1.54mA/cm^2、V_<oc>=0.60V、FF=0.44、η=0.40%であったのに対し、PTCDA層を用いてピラー構造を導入した素子においては、J_<sc>=-1.44mA/cm^2、V_<oc>=0.55V、FF=0.43、η=0.34%とほぼ同様の特性が得られた。デバイス特性に大きな違いが見られなかった理由として、ピラーの長さが不均一であり、有機膜表面のラフネスが増加したこと、大気曝露するプロセスが含まれていることが考えられ、これらの改善により更なる高効率化が期待できる。
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