2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10J00387
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平出 雅哉 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 励起子ブロッキング層 |
Research Abstract |
昨年度は有機薄膜太陽電池の陽極界面にTPTPA(tris[4-(5-phenylthiophen-2-yl)phenyl]amine)を挿入することで電流値が向上するということを見出し、本年度は分子配向という点でこの原因の解明を行った。まず、界面の電子状態の評価を光電子分光法によって行った。TPTPA層有無に関わらず、電極界面近傍はバンドベンディングが起こっていることが確認できた。両者に大きな違いが見られなかったことから、キャリアの注入、取出しには大きな変化がないと考えられる。また、ITO電極に関わらず、poly(3,4-ethylenedioxythiophene):poly(4-styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)を陽極バッファ層として用いたデバイスにおいても、PEDOT:PSS層界面にTPTPA層を挿入することで電流値の増加が確認できた。PEDOT:PSSは元来、励起子の消光剤として働くことが知られているために、TPTPA層が励起子ブロッキング層として働いている仮定し、発光強度の比較を行った。すると、PEDOT:PSS上に積層させたドナー材料(tetraphenyldibenzoperiflanthene:DBP)からの発光は消光されていることが確認できた。また、両者の界面にTPTPA層を挿入することで消光が抑制された。このことから、TPTPA層は励起子ブロッキング層として働いているということが確認できた。10nmのTPTPA層を挿入した場合、PEDOT:PSS層界面での励起子失活を完全に抑制することができ、最高で5.25%のエネルギー変換効率を得ることができた。この値は低分子蒸着系の平面ヘテロ接合型素子においては最高レベルの特性であり、励起子ブロッキング効果、励起子閉じ込め効果が、有機薄膜太陽電池の素子特性を向上させるためには重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度からの課題は陽極界面のTPTPA層の役割を明らかにするということであった。本年度はTPTPA層が励起子ブロッキング層として働いており、それにより大幅にデバイス特性が向上することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではデバイス構造に注目して高効率化に取り組んできたが、今後は分子構造に注目し高効率化を目指す。そのために新規化合物の合成を行い、デバイスに応用する。その結果をさらに分子構造にフィードバックし、高効率化を目指す。
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