2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子受容性を有する不斉配位子を用いた触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
10J00394
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永長 誠 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロジウム / 不斉付加反応 / キラルジエン配位子 |
Research Abstract |
ロジウム-テトラフルオロベンゾバレレン触媒を用いた不斉反応を二つ見出し報告した。一つめは、鎖状エンインアミドに対するアリールボロン酸の付加反応で、生成物として軸不斉アレンが高エナンチオ選択的に得られる。同様の反応形式は銅触媒を用いて達成されているが、不斉反応の例はまったく報告されていなかった。軸不斉アレンは有機合成におけるビルディングブロックとして有用な化合物であり、その選択的な合成法の開発は重要であるといえる。また本研究では、最適な配位子以外を用いた場合の反応性の変化や副生物の構造から、触媒の構造による反応の位置選択性の変化に関しても考察を行っており、触媒開発に関する知見が得られている点も重要といえる。 二つめは、環状エノンに対する末端アセチレンの付加反応である。既に当研究室から、ビスホスフィン配位子を用いた電子不足オレフィンに対する末端アセチレンの付加反応が数例報告されているが、環状エノンに対する反応は他の基質と比べ立体選択性が低下するという知見が得られていた。本研究で見出した反応は、キラルジエン配位子を用いた末端アセチレンの不斉付加反応の最初の例であり、種々の環状エノンに対し高エナンチオ選択的に生成物を与えることから、これまでのビスホスフィン配位子を用いた報告と相補的なものであるといえる。また、通常不安定とされているロジウムアセチリド種を単離および構造決定しており、錯体化学の分野においても興味深い結果といえる。
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