2010 Fiscal Year Annual Research Report
大強度ビームを用いたニュートリノ振動実験「T2K」での電子ニュートリノ探索
Project/Area Number |
10J00423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子物理 / ニュートリノ / 測定器 |
Research Abstract |
T2K実験のデータ収集システムのエキスパートとして、安定したデータ収集を努めた。また、ビームモニターの測定データを解析し、本年度の実験期間中において、実験の要求精度の1mradよりも良い精度でビーム方向を保証し、高い質のデータ測定を安定して行うことができた。 研究計画にも挙げた通り、ニュートリノフラックス予測の不定性の大きな要因の一つとして陽子と炭素の衝突で出てくるハドロン粒子の生成過程の不定性があり、これを抑えることで課題達成を目指している。スイスのジュネーブで行われているNA61実験でそれらの粒子生成の情報を測定することで、生成過程を正確に把握できる。この実験のデータを使用して生成過程モデルの最適化を行った結果、ニュートリノフラックス予測の不定性を半分以下にすることに成功し、本研究の目的達成の上で非常に大きな成果を挙げた。 ニュートリノフラックスの不定性を抑えると、次に重要なのがニュートリノの物質との反応機構の不定性を抑えることである。現在、ニュートリノの物質との反応機構にも大きな不定性がある。そこをシミュレーションで精度良く理解することが重要である。私は、元の研究計画にはないが、ニュートリノビームモニターINGRIDを用いてニュートリノ測定を行うとともに、シミュレーションの構築を行った。本年度の成果として、測定データをシミュレーションで精度良く再現できた。今後、INGRIDを用いてニュートリノ反応機構を精度良く測定する。 今のT2K実験では、振動前のニュートリノを測定する検出器と振動後の検出器とでニュートリノを捉える物質・原理などが違う。振動前後の検出器を同じにすることで、測定原理などの違いから来る不定性を小さくし、ニュートリノ振動の見積もり精度を上げることができる。私は振動前の地点に設置する新しい検出器の開発・建設を主導的な立場で行った。
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Research Products
(2 results)