2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の病態および診断・治療法に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
10J00514
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 賢優 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折 / 予後 / 大腿骨頭回転骨切り術 / 臼蓋形成不全 |
Research Abstract |
1、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の予後因子に関するMRIを用いた検討 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断を得た25例に対し、MRIのT1強調画像で(1)バンドの長さ、(2)バンドの厚み、(3)骨頭荷重部に占めるバンドの長さ、の測定を行い、予後との関連を調査した。骨折線が長く骨頭荷重部に占める割合が高い場合には骨頭圧潰が進行し、予後不良の可能性が高い。 2、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の予後に関する臼蓋形成不全の影響 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断を得た26例に対し、単純X線で臼蓋形成不全の指標であるSharp角、Center-edge angle、 Acetabular roof angle、 Acetabular head indexと予後との関連を調査した。いずれも予後不良群で臼蓋形成不全の傾向が有意にあり、予後を規定する因子である可能性が示唆された。 3、若年発症の大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折に関する研究 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断を得た5例に関する検討を行った。4例は手術、1例は保存的に加療して治癒した。3例で骨量低下(Tscore-1.0~-2.5)を認め、病理組織所見でも骨梁の菲薄化を認めた。若年者においても骨量低下があり、脆弱性骨折を引き起こす可能性が示唆された。 4、若年者の圧潰変形を伴った大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折に対する大腿骨頭前方回転骨切り術の検討 若年(16~29歳)の大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折5例に大腿骨頭前方回転骨切り術を施行し、術前後の臨床成績を検討した。Harris hip scoreは平均77点から97点に改善し、全例ともADLは良好である。圧潰変形を来した若年者に対して、本術式が有効であることを証明した。 5、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の画像所見 病理所見で診断確定した14例を対象とした。X線において、骨頭圧潰は86%、帯状硬化像は29%、軟骨下骨折線は43%、関節裂隙狭小化は57%に認めた。MRIにおいて、バンド像は中枢凸が86%、末梢凸が14%に認めた。MRIでは多くの撮像条件・スライスを観察し、場合によっては造影MRIの併用も考慮し、慎重に診断する必要がある。
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