2011 Fiscal Year Annual Research Report
環状ニッケル錯体を鍵とするアルデヒドへの炭素-水素結合付加反応
Project/Area Number |
10J00523
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星本 陽一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニッケル / ヒドロアシル化反応 / 環状ニッケル錯体 / アルデヒド / アルケン |
Research Abstract |
本研究は、環状ニッケル錯体を鍵中間体とするアルデヒドの新規分子変換法の開発を目的としている。昨年度までの成果として、アルデヒド二分子間におけるホモエステル化反応、および交差エステル化反応の開発を達成してきた。これらは、従来の遷移金属を用いた機構とは全く異なる経路で進行し、エステル合成反応における新たなコンセプトを提示することに成功してきた。 本年度は、これらの研究で得た知見を、アルデヒドとアルケンのヒドロアシル化反応へと応用した。これまでに報告されてきたアルケンの分子内ヒドロアシル化反応は、積極的な研究開発と応用がされてきたにも関わらず、鍵中間体である金属アシル種からの脱カルボニル反応を完全に抑制することが出来なかった。そもそも、ヒドロアシル化反応の歴史は、脱カルボニル反応をいかにして抑制するか、そのための新反応開発にそって発展してきた。しかしながら現在においても、脱カルボニルを完全に抑制できる反応系の開発は達成されていない。 本研究では、0価ニッケル上でアルケンとアルデヒドが酸化的環化することにより生じる環状ニッケル錯体が、ヒドロアシル化反応における新規の触媒になることを見出した。本触媒系は、金属アシル種を経由しない反応系であるため、脱カルボニル反応を完全に抑制することが出来る初めての触媒系である。基質適用範囲も広く、従来のヒドロアシル化反応では難しかった六員環環状ケトンの合成も達成することが出来た。 今後、機構研究を含めて本触媒系の詳細を明らかにしていく。本研究の成果はヒドロアシル化反応をより汎用性の高いものへと発展させる可能性を有しており、多大な波及効果を及ぼすと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、反応開発およびその機構解明を行っており、必要な実験データは概ね集められている。これを基に今後論文執筆を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
論文執筆に必要なデータは概ね集められている。今後、これらをまとめ、論文の執筆、投稿を行う。
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Research Products
(3 results)