2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 悟志 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河磁場 / インフレーション宇宙論 / 再結合時期 / 宇宙論的摂動論 / トムソン散乱 |
Research Abstract |
現在、銀河等の大スケールにおいて10^<-6> Gauss程度の磁場が観測されている。このような磁場は、宇宙が誕生した後に初期に存在した非常に弱い種磁場が、ダイナモ等の磁場増幅機構によって現在の磁場まで増幅されたと考えられている。しかし、磁場増幅機構そのものは磁場を作ることができないため、初期の種磁場は別の機構から作られねばならない。このような種磁場がどのようにして生成されたのかは、未だに解明されていない。そこで、私は、再結合時期前での物理過程を調べることで宇宙論的な磁場生成の可能性について研究を行った。 過去の研究において磁場の発展方程式を導き、磁場の源として、密度ゆらぎの勾配の積に直接比例する項と光子の渦度に比例する項の2種類があることを示した。本年度は、このうち密度ゆらぎの勾配に直接比例する項について、生成される磁場のパワースペクトルの表式を導き、数値計算を用いてそれを評価した。これによって、生成される磁場のパワースペクトルは、その時期のシルクスケールを境にして折れ曲がることが分かった。これは、磁場の源である密度ゆらぎが、シルクスケールよりも小さいスケールでは、均されてしまい揺らぎが小さくなるため、磁場も小さくなると考えられる。 本研究は、宇宙初期において生成される磁場を定量的に調べており、宇宙の再結合後の進化において磁場に対する初期条件を与えていることになる。磁場によって宇宙初期における銀河や銀河団等の構造形成史が変更される可能性も指摘されており、このことは宇宙の歴史を理論的に知る上で非常に重要である。
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Research Products
(5 results)