2010 Fiscal Year Annual Research Report
非天然金属クラスターをコアに有するタンパク質の創製と水中における触媒機能探索
Project/Area Number |
10J00580
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 洋平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生体金属触媒 / メタロチオネイン / 還元反応 / [FeFe]-ヒドロゲナーゼ / シトクロムc / 鉄カルボニルクラスター / 光化学的水素発生 |
Research Abstract |
本研究では、システイン含有タンパク質を用いることで、金属クラスター構造が強固に保持され、水溶液中で反応性をもつ生体金属触媒の構築をめざしている。当該年度においては、鉄硫黄クラスター構造を基盤とした生体金属触媒を用いた小分子基質の還元反応を集中的に実施した。まず、金属結合タンパク質で知られるメタロチオネインを用いて4つの鉄イオンを結合した生体金属触媒を構築し、反応性を調べた。その結果、窒素-窒素二重結合をもつアゾベンゼン基質であるメチルレッドの還元反応が、常温常圧水中の穏和な条件下において進行し、対応するアニリン誘導体が生成することが分かった。また、触媒能の向上を目的として、タンパク質変異体の合成による基質結合部位の導入(システイン残基をグリシン残基に置換)を行ったが、金属クラスターの安定性が低下し、期待された反応性の向上には至らなかった。続いて、より高い還元能をもつ生体金属触媒の構築を目的として、水素活性化タンパク質である[FeFe]-ヒドロゲナーゼの活性中心と同様の硫黄架橋鉄カルボニルクラスターをもつタンパク質触媒の開発に着手した。具体的には、電子伝達タンパク質で知られるシトクロムcが有する二つのシステイン残基を配位点として、鉄カルボニルクラスター含有タンパク質を構築し、触媒的な光化学的水素発生反応を検討した。その結果、この新規生体触媒が、常温常圧水中の穏和な条件下において、高い水素発生能(pH4.7,2時間の条件においてTON=ca.80)を有することを見出した。
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Research Products
(2 results)