2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体超分子の表面選択吸着機構の解明及び選択吸着技術を用いたナノ電子デバイスの創成
Project/Area Number |
10J00596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋元 達也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 局在鏡面プラズモン共鳴 / バイオナノプロセス / 自己組織化 / プラズモニクス |
Research Abstract |
近年、従来のトップダウン型半導体プロセスにボトムアップ型バイオプロセスを融合させることで、基板上にナノ構造を構築し、新規ナノデバイスを作製する研究が盛んに行われている。その中で、バイオミネラリゼーション能により、金属ナノ粒子を内包できるフェリチンタンパク質は、基板上に金属ナノ粒子を配置するナノブロックとして注目されている。このフェリチンタンパク質は、Tiに特異的に吸着するペプチドをN末端に修飾することで、基板上に形成したTiパターンへ選択吸着させることが可能である。本研究では、Ti認識ペプチドを修飾したフェリチンタンパク質(TBF)による金属ナノ粒子選択配置技術を用い、金属ナノ粒子の量子効果や局在表面プラズモン共鳴等を利用した、新奇なナノ電子光デバイスの作製を目指す。本年度では、早い段階で、TBFの選択吸着機構において基板表面の電荷状態とTWEEN20の作用が重要であることを明らかにした。そこで、ナノ電子光デバイス作製の足がかりとして、TBFをさらに応用し、そのC末端にAu認識ペプチドを修飾したフェリチンタンパク質のサブユニット(TFG)による金ナノ粒子の選択配置を行った。その結果、TFGで覆った金ナノ粒子(TFG-GNP)はTiパターンのみに高密度選択配置可能であることを示した。また、そのプラズモニック特性を評価した結果、高密度であるにもかかわらず、凝集していない金ナノ粒子固有の吸収ピークを得ることができた。以上の結果は、TFGで覆われていない金ナノ粒子では成し得ないもので、TFGによる金ナノ粒子選択配置の優位性を示すものである。また、TFG-GNP配置後のTFG除去方法として、大気圧Heプラズマ処理法を提案し、金ナノ粒子の凝集を抑制しつつTFGを除去することに成功した。さらに、TFG除去後の金ナノ粒子のセンサー応答も確認した。この技術は、デバイス作製に向けて重要なものであり、TFGによる金ナノ粒子選択配置技術を用いたナノ電子光デバイスへの一歩となる。
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