2011 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖アルキル基を有する酸化還元系分子の集積化 : 次元的秩序性の実現と外部刺激制御
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10J00648
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石垣 侑祐 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エレクトロクロミズム / 酸化還元系 / 軸不斉 / 円二色性 / ヒステリシス / 長鎖アルキル基 / 溶媒効果 / フローマイクロ法 |
Research Abstract |
長鎖アルキル基を有する酸化還元系分子の集積化に向け、これまでにキラルなビナフチル骨格を有する多重入力-多重出力型応答系分子やビス(ジアリールエテニル)チオフェン基本骨格とする多重出力型エレクトロクロミズム系の構築を行ってきた。それに加えて集合化状態でのみ発現する特異な機能の実現を目指して研究を展開している。本年度は、酸化還元系分子を非対称化させることで新たな特性の付与を目指した研究を展開することとした。本研究に先立ち、対称なヘキサフェニルエタン誘導体は可逆なエレクトロクロミズム系となることが知られているが、非対称化することで中間体が関与する特異な三色クロミズム応答を示す。ここで、前駆体であるジオールの合成は通常のバッチ型では非常に低収率であったが、フローマイクロ法を適用することで選択的なモノリチオ化を経由する反応が可能となり、収率の改善とともに求電子剤を変えるだけで様々な置換体を合成することに成功した。ここで、一方のジアリールメタン部に点不斉を導入したジカチオンにおいて溶媒の極性に依存するジアステレオ優先性が発現し、分子内不斉転写に基づく円二色性活性増幅が観測された。この非対称誘導体においても三色クロミズム応答を観測できたが、円二色性スペクトルにおいても三色クロミズム応答を実現させるためさらなる研究を展開している。また、一方のジアリールメチル部にのみ長鎖アルキル基を導入することにも成功したが、これらは液晶性の獲得により酸化還元系分子の集積化の実現が可能と考え、検討を進めているところである。効率的に非対称化する方法を確立したことにより、新規酸化還元系分子の設計や応答系への展開の幅が広がったことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
化合物の非対称化を行うため、フローマイクロ法の技術を習得し、学会発表や論文発表などを通じて十分に成果を発表することができた。フロー合成法は、今後の研究を進めていく上でも非常に重要な手法である。例えば、様々な化合物の非対称化が実現可能になることから酸化還元系分子の集積化に向けて、非対称化によってのみ発現する新たな特性や酸化還元特性が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画以上に進展しており、初期の計画にもある集合化状態の実現と外部刺激制御に向けた研究をさらに展開していく予定である。具体的には、酸化還元系分子の集積化を実現するために新たな分子設計を行い、分子内に長鎖アルキル基と親水性の置換基を導入することとした。そのような物質は有機溶媒にも水にも可溶となり、酸化還元挙動はどちらの溶媒中でも観測可能であると期待されるものである。また、このものは水中で集合体を形成すると考えられ、溶媒の違いにより異なる応答挙動を示すと予想される。
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Research Products
(5 results)