2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体状態において外部刺激応答特性を有する機能性超分子錯体の開発
Project/Area Number |
10J00653
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
絹田 貴史 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超分子 / 電荷移動錯体 / ホスト錯体 / 分子包接 / 水素結合 / 分子認識 / 色 / 単結晶 |
Research Abstract |
本研究は、合成的手法の使用を最小限に抑え、性質の異なる2種類の構成分子を組み合わせることにより、固体状態で使用でき、気体状ターゲット分子に対して、「色(吸収及び発光)」による分子認識特性を有する機能性超分子ホストシステムの開発を目的としている。電荷移動(CT)ホスト錯体の生成を、電子ドナー分子としてイオン化ポテンシャルの異なる各種ビナフトール誘導体と、電子アクセプター分子として電子親和力の異なる各種benzoquinone誘導体を組み合わせ超分子・錯体化させることにより、開発を試みた。(rac)-10,10'-dihydroxy-9,9'-biphenanthrylを電子ドナー分子として、2,5-dimethyl-1,4-benzoquinoneを電子アクセプター分子として用い、それぞれをベンゼン溶液に溶解させその後、結晶化することによりCT錯体を得る事に成功した。得られたCT錯体は原料と、まったく異なる濃い紫色をしていた。分子構造について検討するため、単結晶X線結晶構造解析を行った結果、CT錯体は水素結合によるネットワーク構造を構築し、その間にできた空孔内にゲスト分子である、ベンゼン分子を包接していた。すなわち、CTホスト錯体の生成に成功した。次に電子親和力の異なる2-chloro-5-methyl-1,4-benzoquinoneを電子アクセプター分子として用い、同様の実験を行った。その結果CT錯体を得る事に成功した。分子構造について検討するため、単結晶X線結晶構造解析を行った結果、CT錯体は先ほどと同様、水素結合によるネットワーク構造を構築し、その間にできた空孔内にゲスト分子である、ベンゼン分子を包接していた。興味深いことに、いずれのCT錯体も結晶構造に大きな違いは見られなかったが、その色調に大きな違いが観測され、すなわち、電子アクセプター分子の電子親和力を変える事により、CT錯体の色調を制御することに成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Colored supramolecular charge-transfer host system using 10,10'-dihydroxy-9.9'-biphenanthryl and 2,5-disuhstituted-1,4-benzoquinone2010
Author(s)
Ukegawa, T.; Kinuta, T.; Sato, T.; Tajima, N.; Kuroda, R.; Matsubara, Y.; Imai, Y.
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: Volume 66
Pages: 8756-8762
Peer Reviewed
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