2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 哲史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ計測 / キャビティエンハンスト分光法 / キャビティリングダウン分光法 |
Research Abstract |
惑星探査,サンプルリターンミッションなどのこれからの宇宙開発において重要な課題として大気圏突入時の機体への加熱が挙げられる.その加熱環境を地上で模擬する設備がプラズマ風洞であり,そのプラズマ風洞気流の状態を正確に把握する必要がある.プラズマ風洞計測の中でも,空気プラズマ流の並進温度計測は世界でも未だ手法が確立されていない.本研究では,並進温度計測に適したレーザー診断法として,高感度レーザー吸収分光法の適用を試みた.高反射ミラーにより光学的な共振器を作成し,光路長を増幅させるキャビティエンハンスト法について研究した.計測環境における高圧冷却水などにより引き起こされる機械的振動の影響を避けるために,レーザー周波数の高速掃引が試みられた.しかし,高速掃引時には共振器を透過したレーザー強度のプロファイルが従来のAiry関数で表される波形とは異なることが確かめられた.その結果,透過強度が小さくなるために,信号ノイズ比が悪化することが分かった.また,共振のモードの違いによる透過強度の違いについても考察し,その結果,風洞計測においては縦モードのみの共振を利用し,波長掃引を比較的低速に設定することが重要であるということがわかった.この方法を宇宙航空研究開発機構にあるアーク加熱風洞の計測に適用した.その結果,自由流中では吸収を確認できなかったものの,衝撃層内にて吸収を確認した.自由流中での計測を可能にするためには,高反射ミラーをチャンバー窓として利用する,または,機械的振動の抑制方法を改善する等の対策が必要であると考えられる,また,キャビティエンハンスト法に加えて,キャビティリングダウン法を導入した.しかし,計測結果に違いがみられ,両測定法における吸収飽和現象に違いがあることが示唆された.
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Research Products
(2 results)