2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00710
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 芳樹 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表現論 / リー群 / ユニタリ表現 / 分岐則 / D加群 / 旗多様体 |
Research Abstract |
研究の目的は表現の分岐則を求めること,すなわち与えられた群の(一般に無限次元の)既約表現を部分群に制限したときの既約表現への分解を記述することである.特に実簡約リー群のユニタリ表現が,代数的離散分解可能な場合を研究対象としている. 平成23年度に行った研究の成果は次のとおりである.まず昨年度に引き続き,導来関手加群を対称対に関して制限した場合の分岐則を旗多様体上のD加群を用いて研究した,昨年度に得たD加群の手法では,分岐則の上からの評価が得られており,具体的な分岐公式を導くためにはさらに小さい群(制限する部分群の極大コンパクト部分群)に制限して重複度を計算しなければならなかった.本年度は幾何学的な考察を進め,余次元の高い軌道に対応する退化した表現を考察することで,より統一的な方法で分岐則を導くことが可能になった.すなわち,この退化した表現は昨年度得られた分岐則の不等式の差の部分を与えるので,その項を加えて修正することで等式を得た.ただし,こうして得られる分岐公式はいくつかのタイプの(一般に悪いパラメータを含む)導来関手加群の交代和になっており,よいパラメータの導来関手加群の直和で表示するためには分類に基づくケースバイケースの議論が必要である. ここで用いた等質空間上のD加群と旗多様体上のD加群とを結びつける方法は,簡約双対ペアの具体的対応を求めるときに有用であることがわかってきた.Kタイプや無限小指標の情報から対応を導く従来の方法と比べ,この新しい方法に従えば離散系列表現等の対応をより直接的に見ることができる. さらに,表現として導来関手加群の他に極小表現やその他の退化した表現についても離散分解するいくつかの場合に分岐則を求めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していた導来関手加群が離散分解する場合の分岐公式を旗多様体のD加群の方法から導出できた.さらに,極小表現についても一部の場合に分岐則を求めることができた.またここで用いた方法は簡約双対ペアへの応用があることがわかってきた.
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Strategy for Future Research Activity |
表現が関数空間として実現されている場合,表現の分解は関数空間の分解を与える.それはしばしばある微分方程式の固有関数への分解になる.抽象的な分岐則を得た場合について,関数がどのように分解にするのかを具体的に求める.D加群による実現は導来関手加群の場合に最も明快になるが,その他の表現についてもD加群による考察から分岐則の情報を得ることが可能な場合があることがわかってきた.そのため今後離散分解しない場合も含めてより広いクラスで分岐則を考える.また簡約双対ペアへの応用について,より系統的に解釈する.
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Research Products
(5 results)