2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間反転対称性の破れに起因する新奇超伝導現象―d電子系物質からのアプローチ―
Project/Area Number |
10J00725
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 学 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | Li_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3B / CaMSi_3(M=Ir, Pt) / 静水圧下電気抵抗測定 / スヒン一重項-三重項混合状態 / スピン軌道相互作用 / ラッシュバ型 / 単結晶育成 / 物質探索 |
Research Abstract |
【1】多結晶Li_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bの物性評価 Li_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bの、主にx=-0.8以上の試料の比熱測定、及びLi_2Pt_3Bの比熱測定を詳細に行い、超伝導状態の熱力学的特性を明らかにした。その中で従来の^3He冷凍機を用いた測定だけでなく、希釈冷凍機及びベクトルマグネットを用いた極低温下での比熱測定も行った。また10月には共同研究者である岡山大学鄭、稲田両教授の研究室に滞在し、新たにx=0.5以下のLi_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3B試料を作成した。これらは所属研究室に戻った後に比熱測定及び交流磁化率測定を行った。 【2】スピン三重項超伝導体Li_2Pt_3Bの単結晶育成方法の確立 タンタル管封入によるフラックス法でLi_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bの単結晶育成を試みたが、文献の方法では反応性の高いリチウムの浸食が激しく、うまくいかないことが判明した。さらにLi_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bのフラックス法を用いた単結晶育成を目指した。その結果SUS管封入フラックス法が有効であることを突き止めた。 【3】A-T-X_3系を中心とした新物質探索、および既知物質の単結晶育成方法の確立 合金の相図に基づいた元素の選択及び、石英管では不可能な1100℃以上の環境下でのフラックス法を行う方法の調査を行い、CaMSi_3(M=Ir,Pt他)系の新物質探索および既知のAMSi3(A=Ca,Ba,M=Ir,Pt他)の単結晶育成を試みた。またSUS管封入による単結晶育成法を参考に材料の調達を行い、最終的にフラックス法とアーク溶解法を併用することでCaIrSi_3単結晶育成に初めて成功した。
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Research Products
(4 results)