2010 Fiscal Year Annual Research Report
活動性が高い血管内皮前駆細胞の網膜色素変性症モデルマウスへの硝子体注の効果の検討
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10J00752
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 慎一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 網膜色素変性症 / Aldehyde dehydrogenase活性 / CCL2 |
Research Abstract |
網膜色素変性症は日本において中途失明の三大原因の一つで、難病特定疾患に認定されている遺伝病であり、現在確実な治療法がない。視細胞の一つである杆体細胞が主に障害される。初期には夜盲を自覚し、徐々に視野狭窄を示し失明に至る場合もある。また、網膜色素変性症は視細胞と共に網膜血管も徐々に委縮していく。 現在血管内皮前駆細胞(EPC)を用いた虚血性疾患への有効性が報告される一方、期待したほどの効果が得られないとの報告もある。EPCは均一の集団ではなく、中に虚血改善能の低いEPCも含まれている事が示唆される。我々はAldehyde dehydrogenase(ALDH)活性を指標とし機能性の高いEPCs(Alde-Low EPCs)を分離した。この機能性の高いAlde-Low EPCsを用いて神経変性疾患と共に血管委縮性疾患でもある網膜色素変性マウスへ投与し、血管・神経保護作用について検討した。機能性の高いAlde-Low EPCs、機能性の低いAlde-High EPCs、HUVEC、PBSを生後6日網膜色素変性症マウスの硝子体内・網膜下に注入し、病理学的組織解析及び免疫染色を用いて視細胞層、網膜深層血管評価を行った。網膜色素変性症マウスは生後約4週で視細胞消滅および網膜深層血管委縮を認めた。Alde-Low EPCs投与群では、Alde-High EPCs、HUVEC、PBS投与群に比べ有意に血管委縮及び神経変性に至る速さを抑制した。さらに視細胞層におけるアポトーシスを有意に抑制した。関連因子をreal time PCRで検討したところAlde-Low EPCsにおいてマクロファージの遊走に関わるCCL2がAlde-High EPCにくらべ有意に高く発現していた。また、免疫染色によりAlde-Low EPCsを投与した網膜において数多くのマクロファージが遊走してきている事が明らかとなった。マクロファージの遊走を抑制する薬剤(clodronate liposome)、またはAlde-Low EPCsにおけるCCL2の発現をshRNAにて低下させてやるとマクロファージの遊走は抑制され血管および神経保護効果は認められなくなった。以上の事より機能性が高いAlde-Low EPCsは、マクロファージを介して網膜色素変性症における血管委縮及び神経変性に対して抑制性に作用させる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)