Research Abstract |
本研究では,生物の筋が外力に対する粘弾性特性を変化させられることに着目し,制御によって出力の粘弾性を変化できるリニア電磁アクチュエータを複数搭載したロボットを用いて,人や物と物理的インタラクションが可能なシステムを実現する.このシステムによって,多様な外乱が存在する実環境において,人との接触を伴うタスクにおける安全性向上,跳躍のようなダイナミックな動作の実現が可能となる.本年度は,昨年度に提案したリニアバーニアモータを試作した.このリニアバーニアモータは,先に開発した埋込磁石型のリニア電磁アクチュエータと比較して,同じ電流を励磁したときに2倍以上の推力を発生できることをシミュレーションによって確認している.この成果は国際学会にて報告している.試作機を用いて推力およびディテント力(電流を励磁しなくても発生する力)の基本特性および位置制御時の応答性を評価するとともに,外力に対する柔軟動作が実現できることを確認した。また,リニア電磁アクチュエータを複数搭載した筋骨格上肢ロボットの制御を行った.柔軟物を押すタスクに対して,事前に様々な推力値をアクチュエータに与えたときの,関節角度,角速度と手先圧力のデータを集め,そのデータセットを元に適切なアクチュエータの推力の組を推定するようなノンパラメトリックモデルを用いた制御法を適用した.今回は集めたデータを基に手先の圧力が推定できることを実験により確認した.さらに,昨年度に続き,米国・ジョージア工科大学にて研究留学を行い,ロボットの制御への応用を目的に,人の動作の特性を調べる研究を行った.この成果をまとめ,国際学会へ投稿した.その他,リニア電磁アクチュエータ駆動型下肢ロボットの連続跳躍に関する研究について,国際学会での発表を行い,1件の学術論文が論文誌に掲載された.
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