2010 Fiscal Year Annual Research Report
高品質シリサイド半導体のエピタキシャル成長とバンドエンジニアリングの検証
Project/Area Number |
10J00775
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野田 慶一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉄シリサイド / バンドエンジニアリング / シリコン系発光材料 |
Research Abstract |
本研究では、次世代集積回路用Siベース高輝度発光デバイスの創出を念頭に、ベータ鉄シリサイド(β-FeSi_2)のひずみによるバンド構造変調の検証、およびβ-FeSi_2に対するひずみ制御技術の確立を目的とする。β-FeSi_2は高い発光効率を持たない間接遷移型の半導体である。しかし、ひずみ印加に伴い高効率発光を示す直接遷移型半導体へと変化する可能性が理論計算により予測されている。本研究ではまず、ひずみとバンド構造の相関について実験的検証を行う。さらに、ベータ鉄シリサイドに対して任意にひずみを導入する技術を確立することにより、バンド構造変調を誘起し、直接遷移化実現を目指す。本研究の最終目標はひずみ制御により直接遷移化したβ-FeSi_2を用いたSiベース高輝度発光デバイスの開発である。本年度は、分子線エピタキシャル(MBE)法によるβ-FeSi_2成長条件の最適化、および格子変形と直接遷移エネルギーの相関について実験的検証を行い、以下の成果を得た。1.MBE成長時におけるSiとFe供給比(Si/Fe比)の最適化を行った。Si基板面方位に依存して最適Si/Fe比が0.5~2.0の間で異なることが明らかになった。2.格子変形と直接遷移エネルギーに強い相関が存在する結果が得られた。成長方位・成長条件・熱処理など様々な要因に起因した格子変形を導入したところ、格子定数がバルク値から乖離するような格子変形に対応して直接遷移エネルギーが減少することが明らかになった。この結果は、大きなひずみを加えるなど、ひずみ制御により直接遷移型半導体へと変化し得る可能性を示しており、Siベース高輝度発光デバイス創出への寄与が見込まれる。
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