2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラスミドを活用した活性汚泥プロセスの難分解性化学物質分解能の増強に関する研究
Project/Area Number |
10J00815
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 裕文 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プラスミドオーグメンテーション / 活性汚泥 / 難分解性化学物質 / 伝達性プラスミド |
Research Abstract |
本研究は、活性汚泥を用いた廃水処理において、難分解性化学物質の分解遺伝子をコードした伝達性プラスミドを導入する事で、導入菌の生残によらず分解能を増強するプラスミドオーグメンテーションについて、特にプラスミドの挙動に着目してメカニズムを解明する事を目的としている。昨年、汚染物質に2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、導入プラスミドに2,4-D分解遺伝子をコードするpJP4を用いたモデルケースとして、連続回分式リアクターを構築して活性汚泥のプラスミドオーグメンテーション試験を実施し、pJP4を導入することによって200mg/lの2,4-Dの完全処理に要する日数を30日以上短縮する事が可能である事を示した。今年度は、そのメカニズム解明のため、試験を通じて検出された接合株(pJP4を受容した土着菌)の同定と2,4-D分解能の調査を行った。活性汚泥の2,4-D分解能が増強される前の7日目に検出された接合株は主にPseudomonas属であり、2,4-Dを分解しなかった。2,4-Dの完全分解が達成された20日目には2,4-D分解能を有するBurkholderia属が検出された。一方、64日目には活性汚泥内の優占種と考えられるAchromobacter属の他、Cupriavidus属、Pandoraea属の2,4-D分解能を有する接合株が検出された。65日目より2,4-D濃度を500mg/lに上昇させたところ、85日目にはAchromobacter属の細菌のみ検出された。65および85日目に検出されたAchromobacter属の接合株は500mg/lの2,4-Dを24時間以内に完全分解可能であった。以上の結果より、導入したpJP4が活性汚泥内で伝播され、中でも生存競争に強い、より好ましい細菌へと伝達し続ける事で安定した2,4-Dの処理が行われた事が示唆された。
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