2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00834
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒匂 宏樹 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォンノイマン環 / 測度同値 / 軌道同地関係 / 離散群 |
Research Abstract |
測度論的群論の研究を行った.測度論的群論とは新しい観点で加算群を研究する分野である.二つの群の間の測度同値という同値関係を用いて群についての研究を行った.測度同値という関係は群の間の同型に比べてかなり弱い同値関係である.測度同値な2つの群の間に代数的な結びつきがなくても,弱い結びつきが与えられていると考えることができる.片方の群の表現からもう片方の群の表現を構成することなどが可能であり,応用が期待されている. 測度論的群論の研究には様々なバックグラウンドを持った研究者が取り組んでいる.私は作用素環論における中心的な問題であるII$ 1$型von Neumann環の分類とも関係からこの問題をとらえた. 測度論的群論は確率空間の離散群作用とも深くかかわっている.作用の軌道同値関係を調べることはそこから定められるvon Neumann環とそのカルタン部分環を調べることと等価であることが知られている.ここに作用素環論と数学の他の分野(記述的集合論,表現論,幾何学的群論)との連携を見出すことができ,今後の発展が期待される分野である. ストーンチェック境界を用いた研究に引き続き,リース積群と自由積群の測度論的群論における剛性について研究した.これまでにリース積群の間の測度同値が部分群の間の測度同値を導くことを示していた.本年度はその結果を用いてリース積群の剛的性質を見出した.二つの自由積群との測度同値カップリングについても調べた.群の内部従順性に深くかかわる性質としてガンマと呼ばれる性質がある.II_1型因子環のレベルではこの二つの性質に差があることが示されているが,私はさらに,それぞれの性質が測度同値不変であるかどうかを考察した.測度同値理論を経由して,II_1型因子環がSoidityという剛的性質を持つかどうか調べることができた.
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Research Products
(3 results)