2010 Fiscal Year Annual Research Report
メダカを用いた小胞体ストレス応答の組織特異的活性化機構とその意義の解析
Project/Area Number |
10J00865
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 時郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 小胞体ストレス応答 / メダカ / 小胞体ストレス / ATF6 / BiP / 小胞体 / 脊索 / Tilling |
Research Abstract |
当研究では高等動物で小胞体ストレス応答の主要な3経路(ATF6経路,IRE1経路,PERK経路)の生理的意義および組織特異的活性化機構を明らかにすることを目指した。この目的のため申請者はメダカを用いた大量個体による網羅的解析の系を立ち上げた。本年度はATF6経路の生理的役割について解析を行った。 ATF6αおよびATF6βのノックアウトメダカをTilling法によって作出した。これらを掛けあわせてATF6α/ATF6βダブルノックアウトメダカを作出したところ、マウスと同じく発生に異常を生じて致死となることがわかった。発生を詳しく観察したところ、発生初期(stage24)において脊索の形態に異常が生じていることがわかった。次にATF6がどの組織で活性化されているのかを明らかにするためATF6の主な標的遺伝子であるBiP遺伝子のプロモーター下流にEGFPを付加したものを遺伝子導入したトランスジェニック系統を作出し、解析を行った。その結果、脊索でATF6が強く活性化していることがわかった。また、この系統をATF6ノックアウト系統とかけ合わせたところ、有意に蛍光強度の減少が見られた。BiPは小胞体内に局在するHSP70であり、小胞体内のタンパク質の折り畳みに重要な役割をはたすタンパク質である。BiP欠損個体は致死となるため、ATF6ノックアウトによってBiPの量が減少することが、脊索の形態異常の一つの要因ではないかという仮説を立てた。 この仮説を検証するためBiPのミスセンス変異体の作製・解析を行った。また、ATF6ノックアウト個体にBiPを過剰発現させて表現型が回復するかどうかを調べた。その結果、BiPが脊索において重要な役割を果たしていることがわかった。 以上の結果から、ATF6がBiPを転写誘導することが発生初期に重要であると示すことができた。
|
Research Products
(6 results)