Research Abstract |
パルスデトネーションエンジン(以下,PDE)は,デトネーション波(爆轟波)を繰り返し燃焼器内で発生させることで推力や動力を取り出す内燃機関である.圧縮機やノズルスロートが必要なく,従来の推進器と比較して,極めて単純な構造となる.さらに,デトネーション燃焼サイクルの理論熱効率は定圧燃焼サイクルよりも高いことが示されている.構造が単純でありながら,間欠的な燃焼サイクルであるため,推力密度が小さいことが最大の問題点である.また,パルスデトネーションタービンエンジン研究においても,定常流に近い連続的作動(高周波作動)条件下でタービン仕事を取り出すことが,最大の課題となっている.つまり,高周波作動なくしてPDEの実用化はあり得ない.高周波作動には推進剤を間欠的に燃焼器内へ供給する「バルブ機構」が最も重要である. 回転バルブは,高推力化(大流量化)および高周波数化(燃焼器軽量化)が可能であり,高推力重量化に適している.本研究では,回転バルブを用いてPDEの高推力重量比を達成する.また,高周波数化することで,燃焼器内の非定常な流体運動と回転バルブの周波数を一致させ共振させることで非常に高い周波数でのPDE作動を目指す. 当該年度は,回転バルブの基本特性を調査するため,PDE作動時の燃焼器内の可視化および推力測定実験を行った.可視化実験では,高時間分解(3.33μsec)で,160Hz作動時のPDEサイクル(推進剤充填・点火・デトネーション伝播・不活性ガスによる燃焼器内のパージ)を連続して可視化し,燃焼器内の複雑な流体場を理解した.推力測定実験では,幅広い作動周波数領域(40Hz~160Hz)での安定したPDE作動および推力を確認した.なお,71Nの最大時間平均推力および231secの最大比推力を得た.
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