Research Abstract |
22年度は主に,多重変異体および優勢阻害変異体の作出と表現型解析,オルガネラマーカーを用いた多重可視化によるRab11コンパートメントの特性解析を行った. 変異体の表現型解析では,raba1a,raba1b,raba1c,raba1dの各欠損変異体を掛け合わせた四重変異体変異体が通常の生育条件において目立った異常を示さないことを受け,ストレス条件下での表現型解析を行った.その結果,塩ストレス条件下において,四重変異体では野生型に比べ強い生育阻害が出ることを明らかにした.そこでさらに,RabAlbの優勢阻害型タンパク質を発現させた変異体を作出し,その表現型を解析したところ,四重変異体と同様,生育が阻害された.これらの結果より,RabAlメンバーの一部が塩ストレス条件下での応答に必要な輸送を担っていることが示唆された.また,優勢阻害型変異体については,四重欠損変異体とは異なり,通常の生育条件においても生育の悪さが認められたため,さらに他のメンバーと重複しながら通常の生育に必要な輸送にも関与していると考えられた. また,細胞内におけるRab11コンパートメントの挙動について,GFP-RabAlbをGDP固定型(恒常的不活性型)およびGTP固定型(恒常的活性型)に改変したタンパク質を発現する植物を作製し,各種オルガネラマーカーを用いてその細胞内局在を詳細に解析した.GDP固定型RabAlbは,通常よりも大きなサイズの粒状の構造に蓄積し,GTP固定型RabAlbは,ごく小さなドット状の構造と細胞質,根端分裂組織ではさらに細胞膜にも局在していることが分かった.現在,これらのコンパートメントの特性を調べるため,ゴルジ体,TGN,エンドソームなどのオルガネラマーカーや,分泌経路で働くSNAREなどのタンパク質との局在比較を行っている.一連の観察から,RabAlメンバーが,ポストゴルジ網の中でも非常にダイナミックに動くユニークなコンパートメントでの輸送を担っていることが明らかになりつつある.
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