2010 Fiscal Year Annual Research Report
官能基を有する有機金属種を鍵中間体とするマイクロフロー合成
Project/Area Number |
10J01204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 熙珍 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機合成 / 有機金属種 / 有機リチウム / マイクロリアクター / フロー合成 / 保護基フリー合成 / Pauciflorol F / ハロゲン-リチウム交換反応 |
Research Abstract |
有機合成において、官能基の保護・脱保護を必要としない分子変換反応を実現することは、アトムエコノミー、ステップエコノミーの観点から重要な課題である。しかし一般に、複数の官能基をもつ基質を標的とする場合、一つの官能基のみを選択的に変換することは容易ではない。本研究の目的は、フローマイクロリアクターシステムを用い保護基フリーの新規な分子変換法の開発を行うことである。その上で複雑な有機分子の迅速合成のための反応設計に基づき、天然物合成を目指し研究を展開した。まずフローマイクロリアクターシステムを用いて、不安定なアルコキシカルボニル基を有するアリールリチウム種を発生させ、求電子剤との反応に用いることにより、アルコキシカルボニル基を持った化合物に対する保護基ブリー反応の開発を目指した。様々な条件を検討した結果、基質としてヨードアレン化合物、リチウム反応剤としてフェニルリチウムを用い、滞留時間を極めて短く(0.01秒)することで、発生した不安定有機リチウム種が分解する前に、次の反応を行えることが分かった。このように、通常のバッチ型反応器を用いては不可能とされている本反応が、フローマイクロリアクターシステムを用いることで、効率的に行えることを見出した。次に、本反応系のコンセプトを、アシル基を有するアリールリチウム種の発生・反応へ適用した。一般的に、ケトン化合物は有機リチウムと非常に速く反応するため、有機リチウム反応を行う前にアシル基を保護する必要がある。しかし、フローマイクロリアクターシステムを用い反応条件の検討を行った結果、滞留時間を非常に短くすることで(0.003秒)、アシル基を持ったアリールリチウム種を効率的に発生させ、分解する前に様々な求電子剤との反応を行うことに成功した。さらに本反応を天然物であるPauciflorol Fの全合成のためのキーステップとして用い、6ステップの全合成を達成した。
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Research Products
(6 results)