2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズ光触媒を用いる可視光利用型物質変換プロセス
Project/Area Number |
10J01210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塚本 大治郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光触媒 / 物質変換 / 酸化チタン / 酸化タングステン / 可視光 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
光触媒を利用する物質変換は、クリーンかつ省エネルギー的な方法のみならず、太陽光エネルギーを利用できる可能性があり、環境調和型のプロセスを構築するうえで、重要な課題の一つといえる。しかし、光触媒に関する多くの研究は、有害な有機分子の分解を目的としたものがほとんどである。本研究では、ナノサイズ化した材料(酸化タングステン、金属ナノ粒子など)を利用することにより、選択的かつ効率的な物質変換プロセスを実現することを目的とする。 平成22年度は、1.層状の酸化タングステンにより部分的に表面を覆った酸化チタン光触媒をアルコールを含む水溶液に懸濁させて光照射を行うと、対応するアルデヒドが効率的かつ選択的に生成することを見出した。本触媒の高い活性は、酸化チタン上の励起した電子が酸化タングステン表面に移動し、電子-正孔対の電荷分離が促進されることによる。また高いアルデヒド選択性は、生成したアルデヒドが不活性な酸化タングステン表面に選択的に吸着され、逐次的な酸化・分解が抑制されるためであることを明らかにした。また、2.ゾルゲル法によりCrとTiを同時に含むシリカ触媒を合成した。本触媒は、可視光照射下におけるシクロヘキサンの部分酸素化に対し、Crのみを含むシリカ触媒よりも高い活性を示し、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールを選択的に生成することを見出した。本触媒の高い活性は、Cr-O-Ti複合酸化物種が生成することにより、Cr酸化物種の励起状態が安定化されるためであることを明らかにした。また、3.白金ナノ粒子を担持した酸化チタン光触媒が、アルコールとアミンからの直接イミン合成を効率よく進行させることを見出した。本触媒系では、アルコールの光触媒酸化(アルデヒド生成)と酸化チタン表面のルイス酸点におけるアミンとアルデヒドの縮合、という二つの触媒反応が連続的に進行することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)