2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素化合物を架橋剤に用いたナノゲル粒子の調製とBNCTへの展開
Project/Area Number |
10J01230
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
角谷 省吾 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / ドラッグデリバリーシステム / 生分解性高分子 |
Research Abstract |
本年度はホウ素含有ナノ粒子の調製しその体内動態を調査した後、中性子照射による治療効果を評価した。α末端にアセタール基、ω末端にメタクリロイル基を有するacetal-PEG-b-PLA-MAを用い透析法によってミセル粒子を調製した。得られたミセル粒子のコア部に、VB-カルボランと重合開始剤AIBNを溶媒留去法によって内包し、60℃にて24時間攪拌を行いミセルコア部の重合を行った。また比較として、VB-カルボランを内包させた非重合ミセルを同様に調製した。血清存在下37℃でのリリース試験の結果、非重合ミセルは24時間後において約50%のホウ素化合物がミセルから漏れ出したのに対して、重合ミセルは48時間後においても漏れ出しが殆ど観察されなかった。さらに流動場分離法を用いて血清存在下での粒径変化を追跡したところ、非重合型ミセルは37℃に加温後24時間で粒子の凝集が確認されたが、重合型ミセルは粒径変化が全く起こらなかった。これらの結果からミセルコア部の重合によって、生体内環境下でのホウ素含有高分子ミセルの安定性が向上していることが確認された。次に腫瘍モデルマウスを用いた体内動態試験の結果、コア部の重合によって血中滞留時間の顕著な向上が確認され、それに伴い腫瘍へのホウ素集積量が増加することを確認した。これらの結果は、コア部の重合による安定性の向上によって得られたものであると言える。最後に熱中性子線照射後のマウスの腫瘍体積変化を計測した結果、非重合型ミセルおよびBSH(ボロキャプテート:低分子ホウ素薬物)投与マウスでは未処理群とほぼ同様の増加傾向が見られたのに対して、我々の設計した重合型ミセル投与マウスでは明らかな腫瘍増殖抑制効果が確認された。来年度は内在性腫瘍に対する治療効果を評価して行く。
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Research Products
(7 results)