Research Abstract |
研究実施計画では,2点の研究目標を掲げていた.それぞれの研究実績を1,2に記す. 1.まず,数値計算結果の分析について,昨年度(平成21年度)に実施した数値計算結果に基づき,今年度は得られた結果の分析を進めた.その結果,複雑な都市表面上の流れ場については次のことが明らかとなった.都市表面の平均風速分布については,実験と計算の結果が近い傾向を示した,また,粗面上の乱流構造を可視化するすることで,粗面上に生成される乱流構造を示した.これは,実験では困難な3次元的な空間分布を分析できるという数値計算の特性を生かした解析である.その一方で,乱流強度や抗力係数などの高次の乱流統計量については,実験結果との乖離が見られた.現状では,これらは,実験条件を数値計算において再現することが難しいことや,不十分な条件設定があったことが原因となっているものと考えている.特に,床面抗力について,摩擦と圧力による抗力比が実験とは異なる結果となっており,この点を改善することが今後の課題となっている.物質輸送については,実験結果の比較から,次のことを示した.これまでの実験結果の分析と数値解析の結果から,粗面上の濃度境界層発達は,滑面上の発達よりも急峻であることを定量的に示した.また,複数条件の数値計算による物質輸送係数を実験結果と比較することにより,両者が異なる傾向を示していたが,流れ場の解析結果とあわせて考察することにより,床面摩擦の割合によって,結果が改善する可能性を示した.なお,予定通り,これらの成果については,口頭発表により研究成果を報告した. 2.次に,計算環境の設定に関して記す.今年度(平成22年度)からは,九州大学計算機センターを使用して解析を行うこととした.また,新たにローカル計算機を研究室に導入した.両者については,これまでの数値計算での環境の移動・設定を完了した.
|