2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなLewis塩基を有機分子触媒とした新規不斉反応の探索
Project/Area Number |
10J01519
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
下田 康嗣 熊本大学, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | タンデム反応 / Lewis塩基 / 不斉反応 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、Lewis塩基を触媒とすることで、メチルケトン1分子とアルデヒド2分子間において連続的アルドール反応が進行し、ダブルアルドール付加体が高い化学収率および良好なエナンチオ選択性で得られることを見出している。本反応の基質適用範囲を拡張し、新たな反応を開発すべく検討を行った。この結果、2箇所の反応点を有する脂肪族メチルケトンを用いた場合、それぞれの反応点でアルデヒドが1分子ずつ反応した付加体が得られることを見出した。この付加体は、3つの不斉炭素を有するにもかかわらず、ほぼ単一の化合物を得ることに成功している。 また、本反応の反応機構の解明に向けた検討を行い、各種分析機器を用いることでその詳細な反応機構を解明することに成功した。 本成果を"Stereoselective Synthesis of Multiple Stereocenters by Using a Double Aldol Reaction"という題名で論文を作成し、Angewandte Chemie International Edition誌に掲載されることが決定している。本手法はわずか一工程にて複数の不斉中心を制御することが可能であるため、今後の更なる展開により有用なツールとなることが期待される。また、本反応をエノン構造を有するケトンに適用することで、台成中間体として有用なジヒドロピラノン骨格合成に成功するなど、本反応の応用は可能であり、今後の更なる検討により益々の発展が期待できるものである。
|