2010 Fiscal Year Annual Research Report
短行程ステロイド骨格構築法を基盤とするバトラコトキシンの全合成研究
Project/Area Number |
10J01552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 恵理子 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ステロイド / アルカロイド / 鈴木-宮浦カップリング / ドミノ環化反応 / 全合成 |
Research Abstract |
ステロイド骨格を有するアルカロイドであるバトラコトキシンは、南米コロンビアの熱帯雨林に生息するヤドクガエルPhyllobates属から単離構造決定され、陸上生物から単離された非タンパク系有機化合物の中で最も強力な毒性を有する。バトラコトキシンは、その構造の複雑さから、多くの合成化学者のターゲットになっているが、未だ全合成は達成されていない。本研究では、立体選択的にバトラコトキシンを合成するため、バトラコトキシンの4環性骨格を構築したのちに、N、Oを含む7員環を形成し、さらに側鎖を導入して全合成を達成するとともに、本研究で得られた知見をもとにした、ステロイド骨格の一般的かつ簡便な構築法の開発を計画した。 実際の研究は以下のように行った。イソフタロニトリルを出発原料とし、水素原子をヨウ素で置換後、アルキル化によりAB環部炭素骨格を、続くアルキルボランとの鈴木-宮浦カップリングにより、D環部炭素骨格をそれぞれ導入した。さらにアルコキシアミンとの還元的アミノ化反応によりE環部炭素骨格を導入し、鍵反応であるドミノ環化反応の前駆体を合成した。生合成経路を模倣したステロイド骨格の構築は何例か報告されているが、高度に官能基化された基質でこの環化反応に成功した例はほとんどない。名古屋大学の石原らは、四塩化スズを用いたステロイド骨格のAB環部の構築を報告しているため、この反応条件を基本としてルイス酸をスクリーニングし、多環式骨格構築法の開発を検討した。
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