2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物葉緑体RNAポリメラーゼのppGpp結合部位に関する研究
Project/Area Number |
10J01668
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 道大 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 緊縮応答 / ppGpp / relA/spoT homolog / 葉緑体 |
Research Abstract |
ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)における(p)ppGpp合成酵素の機能解析 ヒメツリガネゴケのゲノムには9つのRSH遺伝子が推定され,ヒメツリガネゴケRSH遺伝子のうち最も強く発現していたPpRSH1およびPpRSH2をクローニングし,その機能を解析することにした.タンパク質PpRSH1およびPpRSH2を昆虫無細胞翻訳系を用いて発現させ,基質と反応したところ,両タンパク質はppGpp合成活性を有することが明らかとなった.また,GFP融合タンパク質をヒメツリガネゴケのプロトプラストで発現させタンパク質の細胞内局在性を解析したところ,両タンパク質は葉緑体へ輸送されることが示された.またヒメツリガネゴケにアブンシジン酸やUVなどを処理することにより,RSH遺伝子群の発現上昇が確認できた.この結果からヒメツリガネゴケのRSH遺伝子も他の植物のRSHと同様にストレスにより発現が誘導されることが明らかとなり,この現象はコケ植物から種子植物に渡り普遍的であることが示唆された,さらにPpRSH1の過剰発現株の作成を行い野生株と比較した結果,生育速度の上昇が見られ,また植物体の分化にも影響を与えていることが示唆された.バクテリアにおける緊縮応答は,基本的にさまざまな栄養欠乏によって引き起こされるストレス応答であるが,ヒメツリガネゴケにおいては,RSH遺伝子はUVや乾燥などの環境ストレスや植物ホルモンにより上昇する.本研究の結果から,バクテリアから葉緑体への進化の過程で,ヒメツリガネゴケはバクテリアとは異なるストレス受容機構を進化させることによって,より生育環境に適応したことが本研究から示唆された.
|