2010 Fiscal Year Annual Research Report
異種接合制御と新チャネル構造による次世代インバータ用GaNトランジスタ
Project/Area Number |
10J01711
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大井 幸多 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AlGaN/GaN HEMT / 多重台形チャネル構造 / 電流コラプス |
Research Abstract |
今後のAlGaN/GaN HEMTの発展には、デバイスの信頼性・安定性の向上が不可欠である。GaN系HEMTではドレイン電流電圧特性の測定において、高いドレイン電圧印加時ならびにゲートソース間オフストレス印加時にドレイン電流の減少が観測されることがある。この現象は「電流コラプス」と呼ばれ、デバイス動作の安定性に大きな障害を与えている。本研究では、これまで研究してきたゲート電極直下のみに周期的トレンチ構造を形成した多重台形チャネルHEMTの電流コラプス評価を行い、デバイスの信頼性を調べた。比較のため一般的なデバイス構造であるプレーナ型HEMTも同時に評価した。電流コラプスは、オフストレス印加前後のドレイン電流電圧特性を比較し評価した。オフストレス条件はゲート電圧-8V、ドレイン電圧10V~50Vである。プレーナ型HEMTでは、オフストレス印加によってドレイン電流が減少し、電流コラプスが確認された。この電流コラプスは、オフストレスによりゲート電極から電子が注入され、AlGaN表面の電子準位に電子が捕獲されたことが原因としてあげられる。この電子捕獲に伴いゲートドレイン間アクセス領域が負に帯電し、その結果ドレインアクセス抵抗が増加したため、ドレイン電流の減少が見られたと考えられる。一方、多重台形チャネルHEMTにおいては、オフストレス印加によるドレイン電流の減少がプレーナ型HEMTと比べて少なく、電流コラプスの影響が小さいことが確認された。本研究で作製した多重台形チャネル構造の細線幅は100nm以下と非常に狭いため、チャネル抵抗は数kΩとドレインアクセス抵抗に比べ2桁以上大きい。その結果、多重台形チャネルHEMTの特性は、高チャネルインピーダンスの効果によりアクセス抵抗の変化に対して影響が小さいと推測される。つまり、多重台形チャネルHEMTは耐電流コラプス特性に優れた構造といえる。
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Research Products
(5 results)