2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗HIV活性物質13-オキシインゲノールの合成研究
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10J01760
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大好 孝幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 13-オキシインゲノール / in-out炭素骨格 / 閉環オレフィンメタセシス / [2,3]-シグマトロピー転位 |
Research Abstract |
13-オキシインゲノールは1974年トウダイグサ科の植物であるカンスイより単離されたジテルペンであり、その誘導体であるRD4-2138は非常に強い抗HIV活性を示す。抗HIV活性については現在使われている抗HIV薬であるジドブジン(AZT)よりも50倍以上の活性を持つ。また、その構造は四環性炭素骨格を持ち、transに縮環し強く歪んだin-out炭素骨格やcisトリオール構造といった特異な構造を含む。この特異な構造のため、類縁体であるインゲノールの合成は発見されてから30年以上の間全合成報告はなかった。申請者の研究グループでは閉環オレフィンメタセシス反応を鍵反応とし、初の光学活性インゲノールの形式合成を達成しており、その手法を活用し、より活性の強い13-オキシインゲノールの合成研究を行うことにした。分子内スピロ環化反応と閉環オレフィヒンメタセシス反応を用い、インゲノール類特有のin-out炭素骨格を効率的に合成する手法を見出した。また、A環部を根岸カップリングと位置及び立体選択的ジヒドロキシ化によって構築した。しかしながら、B環部の構築においてエポキシの開環反応を用いて構築を試みたが目的のB環を構築することはできなかった。そこで、B環部を先に構築することにし[2,3]-シグマトロピー転位を用いてその骨格を構築することができた。しかしながらB環構築後にA環の構築を試みたが望まない副反応が進行してしまいAB環の構築は達成できなかった。
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