2010 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な縮環構造を有する神経毒(-)-アニサチンの不斉全合成研究
Project/Area Number |
10J01765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小椋 章弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全合成 / GABAA受容体 / セスキテルペン / 不斉合成 / アニサチン |
Research Abstract |
アニサチンはシキミの種子より有毒成分として単離されたセスキテルペンである。GABAA受容体を強力に阻害する神経毒として知られており、植物由来の毒として最強のものの一つである。またアニサチンは比較的小分子でありながら、スピロβラクトンを含む高度な縮環構造や8つの連続する不斉中心を有しており、合成化学的にも興味深い化合物である。以上の理由から、これまでアニサチンの合成研究が数多く行われてきたが、その全合成例は一例のみにとどまっている。そこで私は、新規合成戦略に基づくアニサチンの不斉全合成を達成するべく研究に着手した。まずは合成経路の確立を目的として、ラセミ体の基質を用いて研究を進めることとした。合成戦略としては、アニサチン中央部の多置換シクロヘキサン環を高度な立体制御のもと構築することを考え、ビシクロ[2.2.2]骨格をその前駆体として利用することとした。この合成戦略に従い研究を進めた結果、中央部多置換シクロヘキサン環に含まれる二つの四級炭素をはじめとした、六つの不斉炭素を高度な立体制御のもと構築することに成功した。一方で、当初予定していたピナコールカップリングによる左下シクロペンタンジオール部位の構築には困難が伴った。そこで現時点では左下はシクロペンテン環として他の部位の変換を進め、のちの段階でジオール部位を構築することを考えている。並行して、合成中間体を光学活性体として得るための検討も行った。ヘック反応を用いて不斉中心を構築することを試みたが、種々の検討にもかかわらず目的の反応は進行しなかった。現在分子内SN2反応により不斉炭素を構築する検討を行なっている。
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Research Products
(2 results)