2011 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な縮環構造を有する神経毒(-)―アニサチンの不斉全合成研究
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10J01765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小椋 章弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全合成 / GABAA受容体 / セスキテルペン / 不斉合成 / アニサチン |
Research Abstract |
アニサチンはシキミの種子より有毒成分として単離されたセスキテルペンである。GABAA受容体を強力に阻害する神経毒として知られており、植物由来の毒として最強のものの一つである。またアニサチンは比較的小分子でありながら、スピロβラクトンを含む高度な縮環構造や8つの連続する不斉中心を有しており、合成化学的にも興味深い化合物である。以上の理由から、これまでアニサチンの合成研究が数多く行われてきたが、その全合成例は一例のみにとどまっている。そこで私は、新規合成戦略に基づくアニサチンの不斉全合成を達成するべく研究に着手した。まずは合成経路の確立を目的として、ラセミ体の基質を用いて研究を進めることとした。合成戦略としては、アニサチン中央部の多置換シクロヘキサン環を高度な立体制御のもと構築することを考え、ビシクロ[2.2.2]骨格をその前駆体として利用することとした。この戦略に従い、前年度の検討では中央部多置換シクロヘキサン環に含まれる2つの四級炭素をはじめとした、6つの不斉炭素を高度な立体制御のもと構築することに成功した。当年度には鍵となるスピロβラクトンの構築を目指し検討を行った。予期しなかったレトロアルドール反応や縮合反応の選択性に問題があり検討は難航したが、基質に三級水酸機の保護基としてメトキシメチル基を導入することで解決することを見出した。残る2つの不斉中心の構築にも成功し、ラセミ体でのアニサチンの全合成を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度までにアニサチンのラセミ体での全合成を達成することに成功した。一方でその不斉合成に向けての検討は昨年度に行ったものの、効率的な合成法を見出すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討でラセミ体でのアニサチンの全合成を達成することができたので、続いて不斉全合成の達成を目指して検討を行う。本合成経路では、合成中間体のフェノールがもつ1つの不斉中心の立体化学を活用して他の7つの不斉中心の構築を制御しているため、このフェノールを不斉合成できればアニサチンの不斉全合成が可能となると考えられる。具体的には、不斉補助基を含むブテノリドに対するジアステレオ選択的1,4-付加反応によって不斉中心を構築することを考えている。
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Research Products
(2 results)