2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J01812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桐野 裕介 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 岩石間隙構造 / 拡散係数 / 屈曲度 |
Research Abstract |
放射性廃棄物の地層処分などの水質汚染や風化,続成などの地球科学的過程を理解するうえで,岩石間隙水中の溶質の拡散現象を理解することが重要である.岩石間隙水中の拡散係数(実効拡散係数)は,岩石間隙を細管の集合とみなすモデル(e.g.Neretnieks,1980)や経験則であるアーチーの法則(e.g.Boving and Grathwohl,2001)などをもとに議論されてきたが,ばらつきが大きくまだ十分に理解されていない.そのため本研究では,岩石の間隙構造と実効拡散係数の関係の理解を目標とした.まず有効間隙率(岩石中の外につながっている間隙の体積割合)と実効拡散係数の関係を理解するため,著者らがKirino et al.(2009)で提案した基準を下に,信頼できる先行研究の結果及び著者らが測定した実効拡散係数を有効間隙率の関数としてコンパイルした.さらにこれらの結果を,岩種及び間隙径の大きさによって、実効拡散係数がどのような傾向を示すかを調べた.その結果,同じ間隙率でも,間隙径が大きい(100nm以上)岩石の方が,実効拡散係数が大きくなる傾向があることがわかった.また間隙率20%以下では,間隙径が大きい岩石の屈曲度(拡散方向への岩石間隙の迂回率)は,間隙率にほとんど依存せず,間隙率が小さくなっても拡散の経路が変わらないことが示唆された.この結果は,単純な粒子の圧密モデルによって説明可能である.またレーザー共焦点顕微鏡と原子間力顕微鏡を用いて岩石間隙の三次元構造の測定を行った.これらの装置で測定した三次元データから,高さごとのヒストグラムを計算し,シンプルな間隙モデルを仮定することで,屈曲度を間隙構造から直接決定することに成功した.
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