2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J01812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桐野 裕介 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 拡散 / 間隙構造 / 地層処分 / アルカリ変質 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分において,岩石間隙水中の放射性核種の拡散現象を理解することが重要である。一方、地下坑道の掘削・施工時にセメント系材料を用いた場合,高アルカリ性水溶液が発生し,周囲の岩石が変質する可能性がある。この変質現象によって岩石の間隙構造が変化し、岩石間隙水中の放射性核種の拡散係数が変化する可能性がある。本研究ではこの影響を評価するため、アルカリ変質実験及び反応・物質移動シミュレーションを行った。はじめにCa(OH)2水溶液中での花崗岩ブロックの加速変質実験(80℃、1-40日)を行った。変質実験後に花崗岩を取り出し観察した結果、花崗岩ブロック表面に多孔質なファイバー状の二次鉱物が生成している様子が確認された。一方で、花崗岩ブロック内部には二次鉱物が生成しておらず、間隙構造に大きな変化が無いことが分かった。また反応溶液の濃度変化を解析した結果、初生鉱物の溶解と岩石間隙水中の溶存Siの拡散過程が沈殿過程を律速していることが分かった。さらにこの二次鉱物は、花崗岩内部からのSiの拡散抵抗にならないことが分かった。次に反応・物質移動シミュレーションを用いて、実験結果を再現するパラメータの検討を行った。その結果、曹長石及びカリ長石に関しては稲田花崗岩のバルクの比表面積・実効拡散係数の値を用いることが適切であることが分かった。一方で、石英の比表面積・実効拡散係数は稲田花崗岩のバルクの1/30程度の値を持たなければならないことが分かった。したがって稲田花崗岩において、長石が主要な拡散経路であり、この拡散経路はCa(OH)_2水溶液による変質現象では変化しないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変質させた花崗岩において、間隙構造及び拡散性について評価できたから。また花崗岩の初生鉱物ごとの拡散性について評価できたから。
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