2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属内包フラーレンの精密有機化学 : 機能性分子創製を目指した選択的化学修飾
Project/Area Number |
10J01852
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 悟 筑波大学, 数理物質系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属内包フラーレン / 化学修飾 / 選択性 / 構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、金属内包フラーレンの高選択的化学修飾および機能性材料の探索を目的として、具体的に下記3点の結果を得た。 (1)カルベンを用いた金属内包フラーレン多付加体の選択的合成 金属内包フラーレン多付加体の合成により複数個の官能基の導入を試みた。本研究では金属内包フラーレン誘導体La@C_<82>Ad(Ad=アダマンチリデン)およびSc_3N@C_<80>Adに対し、二つ目のAd基の導入を行い、La@C_<82>Ad_2およびSc_3N@C_<80>Ad_2の合成を検討し、選択的な金属内包フラーレン多付加体の合成を行なった。内包金属の動きに着目することで二つ目以降の付加反応の選択性を制御し得ることを見出した。 (2)内包種の有無によるフラーレンの反応性比較 内包種が付加反応の際に直接フラーレンケージに与える効果を明らかにするため、同一ケージ構造を有するD_<2d>-C_<84>とSc_2C_2@D_<2d>-C_<84>の誘導体化を行い、反応性の比較を行なった。付加体の構造解析の結果、置換器の付加位置に大きな違いが見られた。内包種Sc_2C_2の有無によりケージの電子状態が大きく変化することで化学反応性が変化し、付加位置に大きな違いが生じることを明らかにした。 (3)アジド化合物を用いた金属内包フラーレンの新規化学修飾 金属内包フラーレンの溶解性向上を目的とし、アジドを用いた金属内包フラーレンの新規化学修飾の検討を行なった。アジド化合物と金属内包フラーレン(La@C_<82>、La_2@C_<80>)との反応の結果、付加体の高選択合成に成功した。また得られた誘導体の溶解性の向上が確認された。アジド化合物は有機化学において重要な化合物であり、誘導体の豊富なデータベースが構築されている。本研究を活用することにより、アジド誘導体を用いた金属内包フラーレン機能化が期待できる。
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Research Products
(22 results)