2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネKNOX遺伝子OSH1のターゲット遺伝子の同定とSAM の維持機構の解明
Project/Area Number |
10J01871
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
津田 勝利 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 転写因子 / ChIP-sequencing / ホメオボックス遺伝子 / 茎頂分裂組織 / 転写制御 / ゲルシフトアッセイ / マイクロアレイ |
Research Abstract |
植物の成長点である茎頂分裂組織(Shoot Apical Meristem、以下SAM)は、自らを未分化な状態に維持しつつ、一生を通じて次々と葉や茎・花などの器官を生み出す、いわば植物の形づくりの中心である。SAMの維持に必須な転写因子であるイネのKNOX遺伝子の一つ、OSH1の直接のターゲット遺伝子を網羅的に同定すべく、以下の解析をすすめた。 1、Chromatin immunoprecipitation(以下ChIP)、定量PCR及びゲルシフトアッセイをおこない、OSH1タンパク質がOSH1遺伝子自身を含む全てのKNOXファミリーの遺伝子座に直接結合することを明らかにした。 2、野生型と機能欠損変異体osh1における発現解析の結果、OSH1は全てのKNOXファミリーの発現を正に制御することを明らかにした。またOSH1結合配列を欠損させたOSH1レポーター遺伝子を用いて、OSH1タンパク質による自己制御が自身の発現と茎頂分裂組織の維持に必須であることを明らかにした。 3、1と2の結果、これまで全く不明であったKNOX遺伝子の正の発現制御機構を明らかにするとともに、植物特有の発生様式を可能にする新たな分子メカニズムが解明された。 4、OSH1特異的抗体によるChIPと次世代シーケンサー解析を組み合わせたChIP-seq法により、約30,000箇所のOSH1結合領域を同定した。 5、マイクロアレイによる野生型と機能欠損変異体osh1の間での遺伝子発現解析をおこない、発現変動を示す下流遺伝子候補を約1,000遺伝子同定した。 6、5と6の結果を照らし合わせて、OSH1タンパク質により正に制御される約100の遺伝子、及び負に制御される約400の遺伝子を同定した。
|