2011 Fiscal Year Annual Research Report
C-H官能基化反応を利用した複素環骨格合成法の開発と構造活性相関研究への応用
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10J01895
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水原 司 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C-H官能基化反応 / 芳香族求核置換反応 / 新規複素環骨格合成法 / PD 404182 / 抗HIV活性化合物 / 標的分子探索用プローブ |
Research Abstract |
本研究員は、昨年度までに、効率的な構造最適化を実現する有用な方法として、C-H官能基化反応と芳香族求核置換反応を利用した新規複素環骨格合成法を開発した。これらの方法により、短工程、高収率でのPD 404182及び、その誘導体の合成が可能となった。また、PD 404182が既存の抗HIV活性化合物とは異なる作用機序を有することを示唆する研究結果を得たため、PD 404182の作用標的であるタンパク質の同定研究に必要なプローブを合成した。 本年度の研究では、昨年度までに見出した化合物に対して、更なる置換基変換を行った。9位に臭素原子を有する誘導体に対し、鈴木宮浦反応を行い、炭素-炭素結合を導入した誘導体や、N-アリール化やUllmanカップリングを行うことで、炭素-ヘテロ原子結合を導入した化合物を網羅的に合成した。また、様々なジアミンを用いた誘導体合成も行った。その結果、複素環骨格の9位への疎水性官能基の修飾、アミジン環へのメチル基の導入により抗HIV活性の改善が認められ、PD 404182の約4倍の抗HIV活性を有する誘導体を見出すとともに、PD 404182の活性発現に必要なスキャフォールドおよび修飾基を同定した。 また、昨年度に開発した標的分子探索用のプローブを用い、標的同定実験をHIVの持続感染細胞(H9IIIB)に対して行った。プローブの存在下紫外線を照射することによりプローブの光親和性官能基をタンパク質と共有結合させ、ウエスタンブロットにより解析したところ、数種類のタンパク質が検出された。これらのタンパク質は非標識リガンド(競合剤)を添加すると消失したため、PD 404182骨格を認識して標的タンパク質と結合している可能性が示唆された。しかしながら、活性評価に用いるMAGI細胞を用いた実験では同様の結果が得られず、非特異的な数種類のタンパク質が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は昨年度に予定していた構造活性相関研究を行い、リード化合物に比べ4倍の活性を有する誘導体を見出すとともに、興味深い構造活性相関情報を得たため。現在、これらの成果について論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、リード化合物であるPD 404182の構造最適化と標的同定の研究において、特に標的同定研究に重点をおいて研究を行う予定である。これまでの実験結果から、PD 404182がウイルスに対して直接的に作用を示していることが示唆されたため、ウイルス粒子に対し、プローブ分子を標識し、ウエスタンブロットで検出する。その際に、標識の特異性を出すため、化合物濃度、紫外線照射時間等の条件検討を詳細に行い、検出されるタンパク質を精査し、標的を同定する。 また、昨年度新たに行ったランダムスクリーニングにより見出した、抗HIV活性化合物についても研究を行う。効率的な合成法を開発し、構造最適化を行い、高活性な誘導体を見出すとともに、活性に重要なスキャフォールド及び、修飾基を同定する。
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Research Products
(5 results)