2011 Fiscal Year Annual Research Report
鋳型高分子を用いたタンパク質アレイの創製と高次構造の制御
Project/Area Number |
10J01975
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 利和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | タンパク質ナノ集合体 / 高分子-タンパク質複合体 / ヘムタンパク質 / ミオグロビン |
Research Abstract |
天然に学び天然を超えるバイオマテリアルの創製を目的として、遺伝子工学や有機化学的手法を駆使したタンパク質の機能化に関する研究が広く行われている。中でもタンパク質-高分子複合体の調製は、安定性、刺激応答性、触媒能など、両者の特性を融合可能な技術である。本研究では、順序や数を規定して複数個のタンパク質を集合化させるための手法として、タンパク質-高分子複合体に着目した。「鋳型高分子を用いたタンパク質アレイの創製と高次構造の制御」を通じて、バイオデバイス、医療材料、触媒等の有用なバイオナノマテリアルへの応用に向けて、本年度は以下の項目を実施した。 (1)鋳型高分子を利用したタンパク質アレイの創製 ポリ(アクリル酸)を出発原料として、高分子反応により側鎖にヘム(鉄ポルフィリン)を部分修飾(5%未満)した鋳型高分子を調製した。得られた鋳型高分子は、アポミオグロビンとの混合により、ヘム-アポタンパク質間に働く強い超分子相互作用を介して、複数個のアポミオグロビンを結合し、巨大なミオグロビン-高分子複合体を形成した。高分子鎖の長さに依存して、形成されるタンパク質-高分子複合体のサイズは制御可能であった。アポシトクロムb_<562>でも同様にタンパク質-高分子複合体の調製は可能であり、本手法の高い汎用性が確かめられた。 (2)ミオグロビン-高分子複合体の機能評価 得られたミオグロビン-高分子複合体の機能評価として、一酸化炭素との会合能について検討を行った。結果として、その会合速度は天然のミオグロビンに比べ若干劣ったものの、約半分の値を示し、複合体中においてもタンパク質機能を十分に保持していることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した通り、鋳型高分子の分子量やヘムの修飾量に応じて、高分子鎖のデザインに依存した高分子-タンパク質複合体の調製を達成した。ミオグロビン、シトクロムb_<562>の2種類のヘムタンパク質に対して本手法が適用可能なことを明らかとした。ミオグロビン-高分子複合体では、ミオグロビン由来のタンパク質機能であるガス吸着能(一酸化炭素、酸素)に対する評価も併せて行った。
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Strategy for Future Research Activity |
調製した高分子-タンパク質複合体のpH変化や温度変化等の条件検討を行い「高分子-タンパク質複合体の高次構造の制御」として、ミセルやベシクル状構造体の創製を行う。ゲル電気泳動や原子間力顕微鏡観察を用いて構造体形成の評価を行う。また高分子鎖およびタンパク質の物理架橋および化学架橋の利用により、ナノゲル、マクロゲルの創製も併せて検討する。ガス吸着能、電子移動能、触媒能等、集合体形成が及ぼすタンパク質機能の向上を目指す。また鋳型高分子として導電性高分子の利用を行うなど光電変換バイオデバイスへの応用も目指す。
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Research Products
(7 results)