2010 Fiscal Year Annual Research Report
シリル基を基本骨格としたストレス応答性PPM1ホスファターゼ阻害剤の開発
Project/Area Number |
10J01998
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八木 寛陽 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 阻害剤 / ホスファターゼ / 癌 / p53 / PPM1D / 脱リン酸 / 阻害剤結合領域 |
Research Abstract |
PPM1ファミリーは、悪性腫瘍をはじめ虚血性脳梗塞、心筋梗塞の治療のターゲットとして注目されており、その機能および制御機構の解明は極めて重要である。本研究では、各PPM1タイプホスファターゼに対するin vitroにおける阻害剤のスクリーニングを行うため、これまでに当研究室で確立した方法により、一連のPPM1タイプホスファターゼの発現・精製を実施した。pNPPを用いた測定から、全ての酵素が活性を保持していることが示された。PPM1タイプホスファターゼ阻害剤のスクリーニングのための優れた基質を同定するため、p53およびp38由来の多様なリン酸化ペプチドを合成し、それらのペプチドに対する各酵素の脱リン酸化能を分析した。その結果、PPM1Fに対してはp38の180位リン酸化Thrペプチドが優れた基質であり、PPM1Bはp53の20位リン酸化Thrペプチドに対して高い触媒能を示すことを見出した。加えて、各酵素における金属イオン依存性について解析した結果、PPM1AとPPM1BはMg^<2+>存在下で高い酵素活性を示し、PPM1FとPPM1LにおいてはMn^<2+>が適することを明らかとし、阻害剤のスクリーニングに重要である金属イオン嗜好性に関する重要な知見が得られた。さらに、PPM1D特異的阻害剤のPPM1Aに対する効果を解析し、これらの阻害剤のPPM1Aに対する阻害活性は極めて弱く、PPM1Dに対する高い選択性を有していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)