2010 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における原核生物型機械受容チャネルの動作機構と生理機能の解明
Project/Area Number |
10J02008
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中山 義敬 東京学芸大学, 連合学校・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 機械受容チャネル / MscS / 浸透圧応答 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
本研究の目的は分裂酵母のMscS様タンパク質を解析することで細胞内機械受容の仕組みを明らかにすることである。原核生物型機械受容チャネルMscSは浸透圧応答時に細胞膨張による破裂を防ぐ役割を担っている。一方、真核生物では部分的にMscSと相同性を示すMscS様タンパク質が見つかり、陸上植物、藻類において葉緑体膜上で機械受容チャネルとして機能していることが明らかになった。しかし、菌類のゲノムからMscS様タンパク質が見つかることはMscS様タンパク質には葉緑体以外の膜における未知の機能があることを示唆する。そこで本年度は分裂酵母から2つのMscSホモログ(Msy1およびMsy2と命名)を見つけ、これらの遺伝子破壊株を作製し、低浸透圧ショックに対する表現型の解析を行った。その結果、Msy1^-Msy2^-二重欠損株は高浸透圧培地から真水にさらし、低浸透圧ショックを与えると大きく生存率が低下することが明らかになった。また浸透圧ストレス条件にさらした時の遺伝子転写量をリアルタイムPCRで調べたところ、高浸透圧、低浸透圧ストレスの両方で約5-10倍の発現量の増加が見られた。この結果は真核生物のMscS様タンパク質が浸透圧応答に関わる遺伝子であることを初めて示した発見である。分裂酵母のMscS様タンパク質が細胞内膜に局在しているのかを調べるためにMsy1のC末端にHAタグをつけて、間接蛍光抗体法を行った。Msy1は核の周辺部にドット状のシグナルとして検出された。これらの結果は分裂酵母のMscS様タンパク質は細胞内で機能する機械受容チャネルであるにもかかわらず、浸透圧ショック時の生存に重要な働きを担っていることを示唆する。
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Research Products
(3 results)