2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規RNA結合タンパク質PPRによるイネミトコンドリア遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
10J02016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
戸田 拓士 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / イネ / PPRタンパク質 |
Research Abstract |
イネには477個のPPR遺伝子があることが報告されている(O'Toole et al 2008)。それらPPRタンパク質のうち、170個がミトコンドリアに移行して機能している可能性があると考えられる。これらのPPRタンパク質は特定のミトコンドリアRNAに結合して、プロセッシング、エディティングや翻訳制御などのミトコンドリア遺伝子の発現制御を行うと考えられている。本研究では、170個のPPRタンパク質の中で、植物の葉、あるいは花粉で特異的に発現するミトコンドリア局在PPRタンパク質について解析を行っている。昨年度までに解析を行ってきた葉で特異的な発現を示すミトコンドリア局在PPRタンパク質をコードする遺伝子MPR25の機能解析を引き続き行った結果、MPR25はミトコンドリア遺伝子であるnad5の1580塩基目のRNAエディティングに関係した機能を保持していることが明らかとなった。nad5はミトコンドリア呼吸鎖のNADHデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子である。そこでBN-PAGE/活性染色法によりnad5の1580塩基目のRNAエディティングが欠落したmpr25変異体におけるNADHデヒドロゲナーゼの活性調査を行ったが、NADHデヒドロゲナーゼ活性は正常であった。さらにMPR25はミトコンドリア遺伝子nad5の発現制御に関係しているものの、mpr25変異体では光合成速度が野生型イネよりも有意に低下していることが明らかとなった。これらのことから、NAD5がNADHデヒドロゲナーゼの活性や構成以外の機能を持つ可能性が示唆された。 MPR25以外の葉・花粉で特異的に発現すると思われるPPR遺伝子とTos17挿入系統があるPPR遺伝子については、各組織での発現解析、GFP融合タンパク質発現用とRNAi系統作成用のコンストラクトの作成やTos17ホモ挿入個体の表現型観察を行っている。
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Research Products
(6 results)