2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジン受容体による細胞特異的シグナリングの分子機構
Project/Area Number |
10J02074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 和志 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロスタグランジン / 細胞特異性 / yeast two hybrid screening / GPCR / シグナル伝達 / lipid raft / 足場タンパク質 / 炎症 |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)E_2受容体は、発現する細胞の種類や分化・成熟度合いにより共役するシグナル伝達経路が変化し、これがPGE_2の炎症性応答を決定する。しかし、PGE受容体によるシグナル伝達共役の相違が各細胞のどのような差違に起因するのかは全く不明である。そこで研究代表者は、「PG受容体には、細胞特異的な相互作用タンパク質が存在し、これが足場として働き、細胞や分化度合いに依存したシグナル伝達を実現する」と仮説をたて、PG受容体の相互作用タンパク質の単離をめざした。本研究の目的は、PG受容体細胞特異的な受容体シグナリングの分子機構を明らかにし、生体におけるPGの炎症病態作用の発現における意義を明らかにすることである。 平成22年度は、酵母Two-Hybrid法を用いて、EP1、EP2、EP3、EP4、FP、IPの6種類の受容体のC末端細胞内ドメインをbaitとし、骨髄library(10^5種類)に対して相互作用するタンパク質の予備的なスクリーニングを行った。その結果、28種類の候補遺伝子をえたが、いずれも相互作用が弱く、ヒト・マウスのPG受容体いずれにおいても再現良く相互作用を示すものはみられなかった。現在、GPCRのC末端をbaitとして同定された複数の結合タンパク質を相互作用の指標とし、10^6以上の骨髄libraryに対するスクリーニングを実施している。一方、研究代表者は、PGE_2が、単独でマスト細胞を活性化し、脱顆粒とサイトカイン産生を引き起こすことで血管透過性を亢進させること、さらにこのPGE_2作用はマスト細胞上のEP3受容体を介し、Gi-PLC経路を介した細胞外Ca^<2+>流入を必要とすることを明らかにした。
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