2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 秀輔 京都大学, 医学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 遺伝子多型 / 癌罹患 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
前年度までにまず、バイオバンクジャパンに登録された前立腺癌患者4,584人、コントロール8,801人のDNAを用いて、2段階のGWASを行った。その結果、5つの遺伝子領域が新規に前立腺癌罹患に関わることを報告した。また、欧米より既に報告のあった31の前立腺癌罹患関連領域のうち、19領域については日本人においても再現されるものの、12領域については関連を認めず、前立腺癌罹患の遺伝的背景の人種差を確認した。 本年度においては、2段階GWASの結果P<1xE-4となった9領域について、新たに3つの独立した日本人サンプル(前立腺癌患者2,557人、コントロール3,003人)の解析を行い、GWASを含む計7,141人の患者、11,804人のコントロールのメタ解析を行った。この結果、3遺伝子領域が新たに有意に前立腺癌罹患と関連(P<5xE-8)していた。また、最近欧米より報告のあった2p11領域についても日本人において前立腺癌罹患と関連していることを確認した。 次に、新規領域のFine mappingおよび前立腺組織での発現解析を行い、2p11領域の癌罹患関連SNPのリスクアレルで前立腺におけるGGCX遺伝子の発現が低下していることを見出した。前立腺癌組織の免疫染色ではGGCXの発現は癌部において非癌部と比較して低下しており、GGCXの癌抑制作用が示唆された。GGCXはビタミンKを補酵素として働く酵素で、in vitroではGGCXがビタミンKと協調して前立腺癌細胞株の増殖を抑制しており、GGCXの癌抑制作用が裏付けられた。また、5p15領域では罹患関連領域がIRX4遺伝子のプロモーター領域に存在し、リスクアレルにおいて前立腺におけるIRX4の発現が低下していた。in vitroでIRX4は前立腺癌発症と関わるビタミンDの受容体(VDR)と相互作用して前立腺癌細胞株の増殖を抑制しており、IRX4-VDRの経路が発癌に影響を及ぼす新規の経路と考えられた。 以上のとおり、当該年度においては、標本数を増やして新規の前立腺癌罹患関連領域を同定した他、同定された領域から責任遺伝子を絞り込み、その機能解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画においては、バイオバンクジャパンの標本を用いたゲノムワイド関連解析によって前立腺癌罹患関連領域を新規に同定すること、および、同定された領域の詳細なマッピングにより疾患罹患関連遺伝子を同定することを目標としていたが、研究の中でさらに京都大学、秋田大学、慈恵医科大学、南カリフォルニア大学の標本を用いた解析が可能となり、最終的に当初の解析検体数を大幅に上回る数での追加解析が行われ、先行して報告した新規5領域以外にさらに日本人の前立腺癌と関連した新規4領域を同定し、Nature Genetics誌に報告できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで同定された日本人における前立腺癌罹患関連領域を複数組み合わせ、ロジスティック回帰法を用いて日本人における前立腺癌罹患リスク予測モデルを構築し、その再現性を複数の独立した標本群で確認し、臨床応用していくことを目指す予定である。
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Research Products
(10 results)