2010 Fiscal Year Annual Research Report
Metal-Semiconductor転移によるカーボンナノチューブ電子構造制御
Project/Area Number |
10J02103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平兮 康彦 九州大学, 大学院・工学府化学システム工学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 金属ナノ粒子 / 電子構造 / Metal-Semiconductor転移 / フォトルミネッセンス / 摂動 |
Research Abstract |
本研究では単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon Nanotube : SWNT)に金属ナノ粒子を担持させることで金属性から半導体性に転移されたSWNTの電子特性(電子構造、酸化還元電位、Fermi準位など)を定量的に評価することを目的としている。既報の論文によると金属性SWNTに水-有機相の液-液界面を用いて、金ナノ粒子をSWNTに吸着させることでPhotoluminescence (PL)が観測されている。本研究ではSWNTに金ナノ粒子を担持させ、SWNT/金ナノ粒子複合体の作製を行った。 まずクエン酸還元法により金ナノ粒子を調製した。等量の金ナノ粒子溶液とジエチルエーテルを用い、水-有機相の液-液界面を作り、そこへN,N-dimethyformamide溶液中に超音波照射により分散させたSWNTを滴下した。SWNTを回収してPLを測定したところ、PLは観測されなかった。参考文献の手法以外にDNAで可溶化した金属性SWNTにカチオン性ポリマーで被覆した金ナノ粒子を付着させる手法と、金属性SWNTの可溶化溶液をろ過し、そこへ金ナノ粒子溶液を直接滴下する手法でSWNT/金ナノ粒子複合体を作製した。いずれの方法で作製したSWNT/金ナノ粒子複合体もPLを示さなかった。 我々の作製したSWNT/金ナノ粒子複合体では、金ナノ粒子自身がPLをクエンチしている可能性がある。金ナノ粒子の大きさ、分散状態、金ナノ粒子のSWNT表面の被覆率などが重要なファクターとなると考えられる。また、ポリマーを被覆した金ナノ粒子を用いた手法では、ポリマー層の厚さも重要である。金ナノ粒子からの摂動をSWNTが受けているかどうかを評価するには、PLだけでなくRaman分光法も取り入れる必要があると考えられる。 本研究によりSWNT界面における金ナノ粒子の大きさ、集合状態の制御が重要であることが分かった。また金ナノ粒子を担持させたSWNTの状態を評価する方法として、PL以外にRaman分光測定も必要であることが分かった。今後、金ナノ粒子の調製条件、SWNT/金ナノ粒子複合体の作製条件の検討を行う予定である。
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