2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極したNa同位体のβ崩壊による中性子過剰なMg同位体の構造の研究
Project/Area Number |
10J02104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田尻 邦彦 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ベータ遅延ガンマ核分光 / 偏極ビーム / スピン・パリティの決定 |
Research Abstract |
本年度の研究目的である^<30>Mgの構造を探る研究のために、2010年8月9~22日にかけて、カナダのバンクーバーにあるTRIUMF研究所にて、スピン偏極した^<30>Naビームを用いた実験を行った。実験本番とそのための準備期間を含め、本科研費補助金を旅費として用いて、二度に渡り約二ヶ月間カナダへ滞在した。一度目は6月24日~7月18日で、二度目はビームタイム本番を含めた7月27目~8月22日であった。現地では、フランスのOrsay研究所から借りたゲルマニウム検出器や新たに作成したプラスチックシンチレータの設置、新たに作成した大強度ネオジウムマグネットの設置、検出器架台の精密アライメント、信号処理のための電気回路の設置および信号調整、それら検出器や回路間のケーブリング、PCによるデータ収集のためのシステムNBBQの最適化等の実験準備を行った。また、^<30>Naビーム用のストッパー固定具を、標準線源を用いた検出効率測定の精度を上げ、かつ頑強にするという目的から、設計ソフトウェアであるCADを、本科研費補助金を用いて購入し、固定台の設計を行った。実験本番では、^<30>Naのビーム量が見積もりの2割以下に減ってしまうという困難に見舞われたが、解析するために十分なデータを得ることができた。 実験後にデータ解析を行い、^<30>Mgにおいて、^<30>Naのベータ崩壊に伴う新たなガンマ線を5本とエネルギー準位4本を初めて観測することに成功した。また、2つのエネルギー準位において、スピン・パリティを初めて決定することができた。現在も、より多くのエネルギー準位のスピン・パリティを明らかにすべく、解析を進めている。
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Research Products
(2 results)