2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネの鉄応答シグナリング解明のための鉄硫黄クラスター生合成に関する研究
Project/Area Number |
10J02144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津釜 大侑 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / SUFE / AGB1 / タンパク質脱リン酸化酵素 / 浸透圧応答 / ブラシノステロイド |
Research Abstract |
・本年はまず実施計画に基づき、鉄硫黄クラスター形成関連遺伝子の解析のためイネの形質転換を行ったが、実験に十分な数の形質転換体を得ることはできなかった。 ・イネの形質転換や形質転換体の選抜には多くの時間を要するため、一部計画を変更し、前年度に行った酵母ツーハイブリッド法で同定されたSUFE並びにAGB1の相互作用因子について、取り扱いが容易なモデル植物であるシロイヌナズナを用いて詳細な解析を行うこととした。 ・解析の過程において、PCR法やウェスタンブロット法に適したシロイヌナズナ細胞抽出物を化学的な処理により簡便かつ短時間で準備する方法を確立し、実験の効率化を実現した。 ・AGB1と相互作用する因子としてAKIN10というタンパク質リン酸化酵素を同定し、これと相互作用するタンパク質脱リン酸化酵素としてPP2C74を見出し、その機能解析を行った。PP2C74と相同な因子であるPP2C52もAGB1と相互作用することから、細胞膜上においてこれらが相互作用することでリン酸化による信号伝達を制御することが示唆された。 ・他のAGB1の相互作用因子としてVIP1という転写因子を同定し、詳細な解析を行った。その結果、VIP1が浸透圧により細胞内局在を変化させ、それにより浸透圧関連遺伝子の発現調節を行うということを見出した。浸透圧応答経路の制御因子についてはこれまで報告が少なく、本成果は当該分野の研究において重要であると考えられる。 ・植物ホルモンであるブラシノステロイドの信号伝達経路にAGB1が関与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたイネの形質転換に失敗し、計画の変更を余儀なくされたため。SUFEやAGB1の相互作用因子の解析に関しては順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間があと1年間であるため、形質転換イネを用いた解析は断念し、SUFEやAGB1の相互作用因子の解析に精力を注ぎたい。
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