2011 Fiscal Year Annual Research Report
二核ロジウム錯体の創製を基盤とする不斉ルイス酸触媒反応の開発とその応用
Project/Area Number |
10J02247
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 雄大 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ヘテロDiels-Alder反応 / Rh(II)錯体 / ルイス酸 / 不斉触媒反応 / 2-アザ-3-シロキシジエン / cis-エランギスラクトン |
Research Abstract |
ロジウム(II)アミダート錯体Rh2(S-BPTPI)4がこれまで不斉ルイス酸触媒では報告例のない2-アザ-1-フェニル-3-シロキシジエンとアルデヒドとの不斉ヘテロDiels-Alder(HDA)反応において優れた触媒活性を示し、広範なアルデヒドをジエノフィルとして用いることができることを見出した。本反応は適用可能なルイス酸に制限があり、不斉ルイス酸触媒反応において実績のある銅(II)ビスオキサゾリン錯体の適用は困難であった。また、1ml%のRh2(S-BPTPI)4存在下で2-ブチナールとの反応により得られる付加環化生成物をアルキンの接触水素化、アミド窒素原子のアリル化、アミナールの加水分解を行うことでクルエンタレンAやBにおけるアミド末端へ効率的に変換することが可能であった。 またこれまで行ってきた4位にメチル基が置換したRawal型ジエンを用いた不斉HDA反応のさらなる基質適用範囲の探索を行った。その結果、本法は芳香族アルデヒドだけではなく脂肪族アルデヒドや共役アルデヒドがジエノフィルとして適用可能で、完璧なエンド選択性かつ最高98%の不斉収率で付加環化生成物が得られることが分かった。また、ヘキサナールとの反応より得られる付加環化生成物をLuche還元してアルコールを単一異性体として得た後、Ferrier型転位反応を行い、生じたアセタールの酸化、オレフィンの還元を行うことでラン科の植物の芳香成分である(+)-cis-エランギスラクトンへ変換することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2-アザ-1-フェニル-3-シロキシジエンとアルデヒドとの反応開発やエランギスラクトンへの変換を達成できたことから、研究は概ね順調に進展しているものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Rh2(S-BPTPI)4の母型錯体であるRh2(S-PTPI)4のフタロイル基上の水素原子を全てフッ素原子で置換したRh2(S-TFPTPI)4の創製を行う。得られる錯体は母型錯体よりもLewis酸として強く、高い触媒活性を有することが期待される。得られた錯体を用いて各種反応の検討を行う予定である。
|